消費税の減税をめぐる与党からの発言が注目された。岸田文雄首相は「引き下げに伴う買い控え、あるいは消費が減退するなどの副作用がある」とし、自民党の茂木敏充幹事長は「野党の言うように下げるとなると、年金財源を3割カットしなければならない」と述べた。
それにしても、「消費税は社会保障目的税である」という財務省の罠にはまっているのは情けない。
世間で常識化している「消費税の社会保障目的税化」は、結論から言えば間違いだ。実は、1990年代までは大蔵省(現財務省)も、消費税は一般財源であり、社会保障目的税としてはいけないという正論を主張していた。
しかし、99年の自民、自由、公明党の連立時に、大蔵省が当時の小沢一郎自由党党首に話を持ちかけて、消費税を社会保障に使うと予算総則に書いた。2000年度の税制改正に関する答申(政府税制調査会)では、それに対する抗議の意味も含めて、「諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらない」と記述されている。
付け加えるなら、消費税は地方税とすべきだ。消費税は安定財源なので、先進国では地方の税源であることが多い。これは、国と地方の税金について、国は応能税(各人の能力に応じて払う税)、地方は応益税(各人の便益に応じて払う税)という税理論にも合致する。