ワタミは「人材サービス業」に本格参入する。子会社ワタミエージェントを通じて、このたび、カンボジアにある「ARS(アジアリクルートスタッフ)」を他社との共同出資から完全グループ化した。
外国人の在留資格「特定技能実習」制度だが、参院議員時代にカンボジアの労働大臣に「カンボジアの子は日本に行くと、日本が嫌いになる。単純労働だけで、知識や技能も得られず、帰国する。技術を学ぶことが技能実習ではないのか」と指摘された。
ワタミが支援する公益財団「SAJ(スクールエイドジャパン)」は300校以上の学校建設や孤児院運営といった教育支援を20年以上続けており、カンボジア政府からの期待も大きい。大臣の言葉を受け、まずはワタミがモデルを作ろうと、今回「夢応援型の人材派遣」に挑戦する。単純労働だけでなく、外国人材が帰国したあとに、起業やキャリアとして働ける、ひとりひとりの夢を応援してくれる日本企業に派遣する。
日本の人手不足は深刻だ。少子高齢化も進み、今後は年間20万人の外国人労働者を受け入れていかないと、人口1億人規模の維持は難しい。折しも円安が加速し賃金という面では「為替差損」で、外国人が日本で働く魅力が薄まってきている。日本で働きたい理由の一番を、高度なスキルやノウハウが学べることに変えていく必要がある。