日本学術会議の〝真意・魂胆〟が注目されている。年間10億円もの血税が投入されながら、特定の政治勢力の影響力が強く、自国の防衛研究に過度なブレーキをかけてきたが、民生と軍事の「デュアルユース」(軍民両用)の先端技術研究を容認する見解を正式に表明したのだ。ただ、軍事研究を否定してきた過去の声明からの決別を拒否している報道もある。日本を取り巻く安全保障環境が激化するなか、学術会議は国民の生命と財産を守る立場に立つのか。「廃止・民営化」論も浮上するなか、生き残りのための目くらましを続けるのか。
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「先端科学技術、新興科学技術には用途の多様性、両義性の問題が常に内在している。デュアルユースと、そうでないものの単純な二分はもはや困難だ。科学技術を潜在的な転用の可能性で峻別し、扱いを一律判断することは現実的でない」
学術会議の梶田隆章会長は25日付で、軍民両用を容認する見解を記載した文書を、小林鷹之科学技術相宛に提出し、ホームページでも公表した。22日に両者が面会した際、小林氏が軍民両用のスタンスについて質問し、それに回答したかたちだという。
実は、今年4月26日の参院内閣委員会で、学術会議の事務方トップ、三上明輝事務局長も、自民党の有村治子参院議員から防衛研究や軍民両用技術への見解を聞かれ、次のように答弁していた。
「(学術会議が2017年に公表した『科学者は軍事研究を行わない』という)『声明』は、デュアルユースのような安全保障に資する研究を、一律に禁止する趣旨のものではございません」