朝日新聞が参院選直後の16、17日に実施した世論調査で、注目すべき結果が出た。「憲法9条を改正し、自衛隊を明記する」案に賛成が51%と、反対の33%を上回ったのだ。岸田文雄政権は「朝日の民意」を、どう受け止めるか。私は懐疑的だ。
参院選で改憲派が改憲に必要な3分の2以上の議席を確保したタイミングで、こんな質問をしたのは、朝日新聞だけだ。
例えば、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の調査(23、24日)は、「改憲に向けた議論が進んでほしいか」と質問し、69・3%が「進んでほしい」と答えているが、9条と自衛隊については聞いていない。
改憲反対の論陣を張ってきた朝日新聞は「大失敗だった」と後悔している、に違いない。なぜ、朝日新聞はこんな質問をしたのか。それは「9条改正と自衛隊明記について質問すれば、反対が多くなるに違いない」とみたからだろう。
朝日新聞とすれば、あえて9条と自衛隊に踏み込んで、反対多数の結果を背に改憲反対の論陣を張ってこそ、「オピニオンリーダーの使命を果たせる」と意気込んだのだ。