野球伝来150年プロアマ記念試合が1日、神宮球場で行われ、U23NPB選抜の根尾昂投手(22)=中日=が先発登板。1回無安打無失点で最速153キロをマークした。6月中旬の投手再転向からわずか1カ月半で長足の進歩。来年3月の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表入りへ、まさかの急加速だ。
大阪桐蔭高時代の2017年神宮大会以来となる神宮のマウンドで、大学・社会人選抜を相手に格の違いを見せつけた。高校日本代表でチームメートだった蛭間(早大)、大阪桐蔭高の1学年先輩に当たる泉口(NTT西日本)らを完璧に封じ込めた。
試合後は「緊張感はもちろんありました。プロ野球がコロナで止まって、できるかどうかわからない中で先発と早い段階で言ってくださった。気持ちの準備もしていたし、プロとしてしっかり抑えないといけない。この舞台で投げさせてもらったことが感謝という気持ちですね」と笑顔。
約1カ月前から根尾の先発を明言していた栗山英樹監督(61)は、「みなさんが見ていた通り。ホントに能力の高い球を投げていたし、ボールが先行してもああいうピッチングになっていく。ナイスピッチングでした」と褒めちぎった。
今季途中の投手転向から12試合に登板し、防御率1・74。1イニングあたりの被安打と四球の合計を表すWHIPは0・68と出色の数字を示す。侍ジャパン関係者は「今回の試合から代表入りするとしたら、投手・根尾。それくらいのポテンシャルを秘めているし、後半戦でもっと成長していくはず」と絶賛する。
栗山監督は日本ハム監督時代の2018年ドラフトで根尾を1位指名。4球団競合で当たりくじを逃したものの、交渉権を得た中日や巨人、ヤクルトが遊撃手で評価していたのに対し、大谷翔平(現エンゼルス)に続く投打二刀流での育成を本気で考えていた。日の丸の指揮官となった今年7月にも、改めて「投手と野手、両方の可能性を考えてやりたい」と明言。プロ入り前から投手の才を見抜いていた栗山監督の期待を背負った久しぶりの先発マウンドで、根尾はさらなる覚醒への足がかりを得た。 (片岡将)