米国のナンシー・ペロシ下院議長が2日夜、台湾を訪問し、蔡英文総統と翌日会談した。中国は「人民解放軍は決して座視しない」などと猛烈な圧力をかけていたが、蓋を開けてみれば「空脅し」だったことがバレてしまった。
それはいいとして、見逃せないのはジョー・バイデン大統領の「弱腰」と、無定見とも言える「短慮」である。コメントを拒否した「政界屈指の親中派」こと、林芳正外相の情けなさも相変わらずだ。
中国が振り上げた拳は、いつになく激しかった。
中国外務省は「主権と領土の一体性を守るために、断固として強力な措置をとる」と繰り返し、ペロシ氏が訪台すれば、いまにも戦争を始めかねないような勢いだった。
これを受けて、米軍は原子力空母「ロナルド・レーガン」を派遣し、戦闘機編隊による護衛に加えて、万が一、搭乗機が墜落した場合に備えて、米メディアは「ヘリコプターによる救出作戦も準備している」と報じていた。
ところが、ペロシ氏の搭乗機が飛来しても、中国軍機が異常接近するでもなく、拍子抜けしたように、搭乗機はすんなり台北市の松山空港に着陸した。
中国軍は4日から7日まで、台湾を取り囲むように大規模な軍事演習をすると発表したが、これこそ「後の祭り」である。さんざん脅した揚げ句、何もしないわけにはいかず、国内向けにポーズをとってみせた、にすぎない。