中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は、2022年度の最低賃金の引き上げ額について、過去最大となる全国平均31円の目安額を正式決定した。
日本商工会議所の三村明夫会頭は、「企業物価の高騰を十分に価格転嫁できていない企業にとっては、非常に厳しい結果」とした。
最低賃金については、どのような伸び率にするか、雇用の観点から合理的に考えるべきだ。大ざっぱな計数であるが、最低賃金の上昇率は「5・5%から前年の失業率を差し引いた数値」程度にしたほうが、これまでの歴史からみれば結果としていい。
賃金を上げるには、雇用の確保が先決だ。雇用の確保のためには、GDPギャップ(総需要と総供給の差)を縮小させなければいけない。これがマクロ経済学からの基本である。
旧民主党政権は最低賃金で失敗した。10年度の最低賃金は引き上げるべきでなかったが、左派政権であることの気負いと経済政策音痴から、引き上げ額17円、前年比で2・4%も最低賃金を引き上げてしまった。前年の失業率が5・1%だったので、そこから導かれる無理のない引き上げ率はせいぜい0・4%程度だった。
民主党政権は、雇用確保のためにGDPギャップをなくすということができず、先に賃金上げを狙って失敗した。