ピアニストの故・中村紘子さんの公式サイトを通じて、芥川賞作家、庄司薫さんが4月5日に老衰のため88歳で逝去したことが6月27日公表された 。当時、国民的人気ピアニストであった中村さんとの結婚は大いに話題を呼んだが、訃報も亡き妻の公式サイトから発表されたことに、永遠の夫婦愛を感じるファンも多いようだ。
公式サイトにて発表された訃報の全文は次の通り。
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【訃報】作家・庄司薫逝去に関するお知らせ
中村紘子の夫である作家・庄司薫は、令和8年4月5日午後3時28分、老衰のため、享年88歳にて永眠致しました。
ここに生前のご厚誼に深く感謝申し上げますとともに、謹んでお知らせ申し上げます。
なお、葬儀・告別式につきましては、故人の遺志により、関係者のみにて執り行いました。
誠に勝手ながら、ご供花、ご供物、ご香典、ご弔電等のご厚志につきましては、固くご辞退申し上げます。
故人は満開の桜に見守られながら、穏やかにその生涯を閉じました。
また、自分を想ってくださるすべての方々へ等しくお知らせを届けたいとの故人の遺志を尊重し、本件につきましては弊所公式サイトのみでお知らせしております。
故人が遺した著作や言葉は、これからも多くの方々の心の中で生き続けるものと信じております。
「これからは本の中でお会いしましょう。」
これまで庄司薫及びその妻である中村紘子を応援してくださった皆様、お世話になりました関係者の皆様には、心より御礼申し上げます。
一般社団法人 中村紘子音楽研究所
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芥川賞『赤頭巾ちゃん気をつけて』と庄司薫さんの文学的功績
庄司薫(本名:福田章二)さんは、東京都立日比谷高校を経て東京大学法学部を卒業した 。大学在学中の1958年に本名で発表した小説『喪失』で中央公論新人賞を受賞し、華々しいデビューを飾っている 。その後、約10年の沈黙期間を経て、1969年に「庄司薫」名義で『赤頭巾ちゃん気をつけて』を発表し、第61回芥川賞を受賞した 。
同作を中心とする以下のシリーズは、主人公の男子高校生「薫くん」の視点から若者の繊細な心情を描いた「薫くん四部作」と呼ばれ、当時の若者から圧倒的な支持を集めて累計360万部を超える大ベストセラーとなった 。
・『赤頭巾ちゃん気をつけて』(1969年):東大入試が中止となった年の、若者の揺れる心境を瑞々しく描写 。
・『さよなら快傑黒頭巾』(1969年) 。
・『白鳥の歌なんか聞えない』(1972年) 。
・『ぼくの大好きな青髭』(1977年) 。
庄司薫さんの用いた「〜なんだな」といった軽快で知的な口語体の語り口は、アメリカの作家サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』からの影響も指摘されており、その後の日本の現代文学やサブカルチャーに多大な影響を与えた 。1977年の『ぼくの大好きな青髭』以降は、エッセーを除いて新たな小説を発表せず、半世紀近くペンを置いていた 。

