人身事故で有罪判決
東京五輪競泳男子200メートルバタフライ銀メダリスト、本多灯(24=イトマン東進)の選手キャリアが窮地に立たされている。今年9月に自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の罪で有罪判決(拘禁刑1年、執行猶予3年)を受けたことに対し、日本水泳連盟が11月4日、1年9カ月の競技者資格停止とする処分を決定したのだ。処分の内容は書面で郵送され、本人に届き受け取りを確認した日から有効、停止処分は少なくとも2028年8月まで。これにより同年春に開催予定の選考会には出場できず、7月開催のロサンゼルス五輪への道は事実上閉ざされたことになった。ネット上では「事実上の引退勧告」「厳しすぎる」などさまざまな反応が飛び交っている。
連盟は4日、都内で倫理委員会を開いて処分を決定。通知書到達後から少なくとも2028年8月まで資格が止まり、春の代表選考会に出られないため、7月の五輪期間中も出場資格がない状態が続くことになる。公式サイトに掲載された「本多灯選手に対する資格停止処分の決定について」全文は、次の通り。
◇
本日、2026年11月4日(水)、本連盟常務理事会を開催し、本多灯選手に対する処分について審議いたしました。本連盟は、本連盟処分規程第4条に基づき、本多灯選手を21か月間の登録資格停止処分とすることを決定いたしました。
本連盟としては、今回の事案を重く受け止め、引き続きコンプライアンス教育の徹底を図り、再発防止と信頼回復に努めてまいります。
以上
令和8年11月4日
公益財団法人日本水泳連盟
◇
事故は昨年11月21日、東京都多摩市内の制限速度30キロの道路で発生。本多は時速88〜108キロで走行中、カーブで対向車線にはみ出し対向車と衝突し、60代男性に胸骨骨折などのけがを負わせた。今年9月の愛知・名古屋アジア大会の出場は辞退していた。
金子日出澄専務理事「一切忖度しない」
連盟への報告までは事故発生から約9カ月間のブランクがあった。金子日出澄専務理事は「危険運転致傷はかなり重大な事故と認識し、報告の遅れも重く受け止めている」と説明。「代表入りの可能性などを一切忖度しない。この決定は覆らない」と強調した。本人には弁明の機会を設けたが提出はなかった。
「事実上の引退勧告だよ」「永久追放でも良い」
厳しい処分の発表を受け、X(旧ツイッター)での反応も賛否が分かれている。
社会保険労務士の野田真史氏は「事実上の引退勧告だよ。厳し過ぎない?水連がブレブレに見えてかなわん。良いの、こんな感じで?」と投稿。24歳という年齢ながら次の五輪への道が閉ざされたことを疑問視した。
一方で制限速度を大幅に超えた運転の危険性と、長期間報告しなかったことから、「甘い」との批判も強い。
・「犯した罪からしたら本多灯は永久追放でも良いのに、日本水連は処分が甘すぎると思います」
・「他人の命を奪ったかもしれないほど悪質な事例。永久追放でもよいのでは?」
・「処分は甘いと思う。しっかり反省すべき」
・「21ヶ月で復帰できる可能性があるのだから、むしろ甘い方。一般企業なら、一発で懲戒解雇」
とはいえ五輪で銀メダルを獲得したほどの実績を持つ選手だけに、今後の更生に焦点を当てた意見もあった。連盟は「なるべく更生の機会を持つことが望ましい」とし、競技者資格を伴わない練習や活動までは制限しない方針を示している。
本多はこれまでSNSで被害者や関係者への謝罪と報告遅れの反省を表明してきたが、処分決定後の新たなコメントは現時点で確認されていない。若きスイマーの競技人生は、極めて厳しい局面を迎えている。
本多が9月9日に自身のインスタグラムで投稿したコメント全文は、次の通り。
◇
本日、私が起こした交通事故に関して判決が言い渡されました。
改めまして、この場をお借りして今回の事故によりお怪我をされた被害者の方に心より深くお詫び申し上げます。また、被害者のご家族の皆様にも、多大なご心配とご負担をおかけしましたことを、重ねてお詫び申し上げます。
今回の判決を受け、自分が起こした行為の重大さとその責任について厳粛に受け止めております。
それと同時に、事故後に所属先や日本水泳連盟への報告が遅れたことについても、社会人として、また競技者としてあるまじき対応であったと深く反省しております。
競技活動を続けるなかで、本当に多くの方々に支えていただき、応援していただいていたにもかかわらず、その信頼を損なう行為をしてしまいました。改めて、日ごろより応援してくださっている皆様、スポンサーの皆様、所属先、日本水泳連盟をはじめ、多くの関係者の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことに心よりお詫び申し上げます。
また、日本水泳連盟、所属先から示される今後の措置についても、真摯に受け止めてまいります。
今回のことを決して忘れることなく、今後も自分自身の行動と責任に向き合い続け、二度とこのようなことを起こさないよう、日々の行動を改めてまいります。失ってしまった信頼は、言葉だけで取り戻せるものではないと考えています。これからの行動を通じて、自らの責任を果たしていきたいと思います。
改めまして、被害者の方とそのご家族の皆様、そしてご心配とご迷惑をおかけしたすべての皆様に、心より深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。
2026年9月9日
本多 灯
◇
(zakⅡ編集部・井上悟)