「DM20」新型ポメラ(1)

2010.01.13


開発本部電子文具開発部・立石幸士氏【拡大】

 昨年のヒット商品の各番付に名を連ねたキングジムのデジタルメモ「pomera(ポメラ)」に、上位機種「DM20」(3万4650円)が加わった。第1弾の「DM10」(2万7300円)は2008年11月に発売され、目標の年間販売台数3万台をはるかに上回る9万台を売り上げた。新ポメラ「DM20」は、どう進化したのか。ポメラを企画・開発した開発本部電子文具開発部の立石幸士氏に聞いた。

【使い勝手高めた「DM10」の上位機種】

 DM20はDM10の後続機種ではなく、あくまでも上位機種という位置づけ。立石氏は「DM10を使うなかで足りない部分が見えてきたため、それを盛り込んだのがDM20です。たくさん文章を打つ人はDM20がよいと思いますが、DM10で十分な方もいるでしょう。自分もDM10を日常的に使っています」と言う。

 ポメラはモノクロ液晶画面付きのキーボード入力装置。多機能が当たり前のデジタル機器の中で、文章を入力することに特化した“単一機能”が売りだ。パソコンと違ってネット接続はできず、基本的にテキスト入力以外の機能もないが、単4乾電池2本で20時間駆動することや340グラムの軽さ、電源を入れてすぐに起動する手軽さ、キーボードの打ちやすさなどが、文章入力の多い人たちに受けている。

 かくいう筆者も取材時にパソコンを持ち歩くのは重いので、メールとネット検索は携帯電話に任せて、入力はポメラ(DM10)という生活をしているが、荷物が重くならないので快適だ。ポメラは取材先でも目を引き、話のネタにもできる。

 DM10は発表直後から高い関心を集め、ネット上にコミュニティーまでつくられた。そうした“ファン”の間から出てきた要望の中からポメラの特徴を失わず、より使い勝手を高める機能を盛り込んだのがDM20だ。

 そのひとつがフォルダ階層の新設。DM10は1階層のみで、作成したテキストファイルはすべて同じフォルダに保存されていた。DM20は5階層までフォルダを設定できる。

 「当初は、外出先でポメラに入力したファイルをすぐにパソコンに吸い上げるという使い方を想定していました。しかし実際はポメラだけで完結する使い方が多くなった。それでフォルダ分けが必要だと実感しました」(立石氏)

 1ファイル8000文字までだった制限も2万8000文字までに増えた。短い文章を細切れに入力するのではなく、ポメラだけで長文を書くというユーザーが思いのほか多かったためだ。学生や研究者が論文を書いたり、ビジネスマンが小説を書くのに使われているという。「世の中には小説を書く人が意外に多いんですよ」と立石氏は言う。

 記憶容量も大幅に増えた。これまで本体メモリの保存は6ファイルまでだったが、1000ファイルまで保存できるようになった。利用できるマイクロSDカードも、2GBから16GBまでに容量が増えた。

 面白い機能も加わった。作成したテキストをQRコードに変換して携帯電話に読み込める機能だ。

 「最初はブルートゥースで携帯と通信しようとしたのですが、製造メーカーが違うと認識しにくいことがある。WiFiはバッテリーの減りが早く、コストも高いので使わない人にはムダ」(立石氏)というわけでQRコードに決定した。

 この意外な“通信方法”はキングジムがかつてテプラやタイムレコーダーなどで採用していた方法。パソコン周辺機器メーカーでは思いつかない、文具メーカーならではの“裏技”だ。

 1つのQRコードに収められる文字数は200文字。ポメラでは、ひとつの文章から16個のQRを作れるので、3200文字までを携帯電話に移動できる。携帯に保存された文章はメールなどで送信可能。これにより、ポメラで打った文章をネットにも流せるようになった。

 次回は、実際にDM20を利用してみて気づいた機能や使い方などを紹介する。(松本佳代子)