【マンション業界の秘密】投資用マンションが民泊の巣になる 現状は自治体任せ、早晩さまざまな問題を引き起こすのではないか

民泊解禁へ。自治体ごとで緩和の度合いが変わる(写真と本文は関係ありません)

 旅館やホテルではない民間の住宅に、対価を得て旅行者を宿泊させる民泊が2018年6月から全国的に解禁される。しかし、まだいろいろと問題がある。

 まず、民泊に使えるのは年間180日以内という規制がある。これは各自治体によってさらに少なくすることもできる。自治体によっては、年間ゼロとする場合もあり得る。つまり、民泊の可否は事実上、各自治体の判断に委ねられるのだ。

 ただ、多くの自治体では180日という法で定められた規制通りに民泊を認めると推測できる。特に東京23区や大阪市などの主要自治体はそうだろう。

 この場合、東京23区や大阪市内にあるマンションはどうなるのか。民泊が解禁されると毎日のようにスーツケースを引く外国人観光客がやってくる可能性もある。

 分譲マンションの場合、管理組合が定める管理規約において民泊を禁止することで、ある程度の抑制にはなりそうだ。管理規約で禁止しているにもかかわらず民泊が行われると、それは従来の旅館業法違反になるそうで、違法行為になる。しかし、管理組合が物理的に民泊を阻止できる規定はない。

 まだ管理規約に民泊違反条項を盛り込んでいない管理組合は、早急に規約改正を行うべきだろう。一方、積極的に民泊をやりたい区分所有者が一定数以上を占める管理組合では、民泊違反条項を盛り込む管理規約改正が事実上、不可能になる。分譲マンションの管理規約は区分所有法によって「全区分所有者の4分の3」の議決がなければ改正できないからだ。

 総会決議を有効とする全区分所有者の半数である定足数を満たすことにさえ汲々としている、投資向けのワンルームマンションなどの管理組合では、この4分の3決議は不可能な場合が多い。

 賃貸マンションの場合はどうだろうか。「居住用」という名目でマンションの部屋を借りて、そこを民泊に出しているケースをよく見かける。現時点では旅館業法に反する行為だが、18年の6月以降は既定を満たせば合法となる。だが、居住用として賃貸借契約を結んでいるのに民泊をしている場合は契約違反だ。

 あるいは、賃貸マンションのオーナーが自ら民泊を行うケースもあり得る。現に、京都市ではそういうマンションオーナーが旅館業法違反で逮捕される事件もあった。ただ、18年6月以降は合法になりそうだ。

 政府はインバウンド(訪日客)を2020年までに4000万人に増やそうという目標を立てている。足りないのは宿泊施設。その解決策の1つが民泊になる。

 今の法規制は何とも中途半端。宿泊施設が足りないエリアや、インバウンドを呼び込みたい地方都市では、この年間180日以内という規制を緩めるべきかもしれない。

 また、あまりにも自治体の裁量に委ねている現在の規定は、早晩さまざまな問題を引き起こすのではないかと予想できる。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。