【売れないモノを売る極意】メール時代の“年賀状プレゼン術” 相手が喜ぶ内容なら絶好のPRツールに

猫好きの心をつかんだ愛猫ちくわの「お鏡ネコ」

 いよいよ仕事納め。例年なら「年賀状、早く出さなければ!」と焦る時期ですが、今年は少し様子が違います。「ビジネス年賀状はメールに切り替える」という人がことのほか増えています。

 きっかけは年賀状の特別価格とその適用期間。新年7日までは52円で8日からは62円という設定がビジネス上、ややこしくてリスキーなのです。新年は三が日の後、いきなり6日から8日が3連休。働き方改革の風が吹く中、「この際、8日まで休んで仕事始めは9日にしよう」という人まで現れて、年賀はがきが送りにくくなりました。

 理由は3つ。まず、どんなに早く送っても見てもらえるのは9日になる可能性があること。次にその場合の返信には、年賀はがきに10円切手を貼る手間が生じること。さらに年賀状は52円と派手にPRされている影響で、62円の年賀状は損した気分になってしまうこと。このため、「メールの方がマシ」と判断した人も少なからずいるわけです。

 しかし、そんな世の流れが年賀状に新しい役割を与えてくれそうです。これまでは大量に送ることに気を取られ、印刷だけで済まし、ひと言添えるにも乱暴な字になりがちでした。でもこれからは「これぞ」と思う人だけに、心をこめた年賀状を送ることができるのです。しかも、自分のことばかり書くのではなく相手が喜びそうな内容にすると絶好のPRツールになります。

 たとえば数年前のこと。私は新年早々、大きな仕事のプレゼンをすることになり、年賀状で好印象を持ってもらおうと工夫したことがありました。キーマンが猫好きなことを知り、愛猫の頭にみかんを乗せて「縁起の良いお鏡ネコ」と題した写真を年賀はがきにして送ったのです。これが印象に残ったらしく、プレゼンの場でも猫の話で盛り上がり、大成功を収めることができました。

 また温泉好きの得意先に「全国各地を旅した私が日本一と信じる温泉です」とメッセージを添えて秘湯の写真を送ったこともあります。するとさっそく「どこか教えて」とメールが届きました。その後のビジネスがうまく運んだことは言うまでもありません。

 つまり「ビジネス年賀状は印刷だけで無味乾燥」というイメージを逆利用し、相手の心に寄り添う温かい年賀状を送ると、好ましい印象を与えることができるのです。

 早めの投函と「返信のお心遣いはなさらないでください」の添え書きを忘れずに。8日以降の年賀はがきは返信が面倒な上、「受け取るなら10円の不足金、払ってください」なんて通知が相手に届く恐れもあります。くれぐれもご注意を。

 ■殿村美樹(とのむら・みき) 株式会社TMオフィス代表取締役。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員。関西大学社会学部「広報論」講師。「うどん県」や「ひこにゃん」など、地方PRを3000件以上成功させた“ブーム仕掛け人”。