EVシフト、商機つかめ 「100年に1度」変革の波

EVが変える日本の産業・生活

 自動車産業に「100年に1度」といわれる転機が訪れている。各国の環境規制や電池などの性能アップを背景に、電気自動車(EV)などの電動車に需要がシフトしていく見通しなのだ。裾野が広い産業だけに自動車大手はもちろん、部品・部材メーカーにも変革の大波が押し寄せるのは必至だ。電池やモーターなどの関連需要が伸びるとみられ、日本企業にも新たな事業拡大の好機となる。(高橋寛次)

 平成29年12月、日本を代表する自動車と電機メーカーのトップが東京都内で緊急記者会見を開いた。主にEV向けの電池分野でトヨタ自動車とパナソニックが提携を打ち出したのだ。

 背景には世界的な「EVシフト」がある。米カリフォルニア州や中国では、自動車メーカーに対し、販売する新車の一定割合を、排ガスを一切出さないEVや燃料電池車(FCV)にすることを義務づける規制を導入する予定だ。

 FCVは水素を充填(じゅうてん)するインフラ整備が課題で、普及には時間がかかるとみられる。他の国や地域でも規制強化が進めば、EVがエンジン車に取って代わり、普及台数を伸ばしていく可能性が高い。世界の新車販売に占めるEVの比率は現在1%未満とみられるが、デロイトトーマツコンサルティング(DTC)は2050年には60・1%に拡大すると予測している。

 エンジン車の製造に必要な部品は1台で3万点とされるが、DTCはEVになると、エンジン部品約7千点を含む2万点近くが不要になるとみている。駆動・伝達、操縦部品は半数近く、電装品・電子部品も大部分がEVには使われないという。日本自動車部品工業会の志藤昭彦会長(ヨロズ会長)は「世界の潮流とも言える変化に対応していく必要がある」と危機感を示す。

 一方で、EVで使われる部品は新たな需要が生まれるとみられ、メーカーには大きな商機となる。既に米EVメーカーのテスラにリチウムイオン電池を供給しているパナソニックは、トヨタとの提携で事業拡大に弾みをつけたい考えだ。パナソニックの津賀一宏社長は「自動車産業は変わろうとしており、カギを握る電池はわれわれにとって重要な事業だ」と力を込める。

 1回の充電でEVが走行できる距離は、電池の容量に依存するため、トヨタの寺師茂樹副社長も「電池を制するものが電動車を制す」と指摘する。同社は、大容量で安全性も高い次世代の「全固体電池」に関して2020年代前半の実用化を目指している。

 電池にためられた電気を動力に変えるモーターや、直流電流を交流電流に変換し、モーターの回転数を制御するインバーターも重要な部品だ。モーターでは、日立オートモティブシステムズがホンダと中国で共同出資し、日本電産が仏自動車大手PSA(旧プジョー・シトロエングループ)と今春に合弁会社を設立するなど、EV需要の拡大を見据えた動きが活発化。安川電機はモーターとインバーターを組み合わせた製品の供給を拡大している。

 日本の産業はEVによる変革の波に乗れるのか。今年は、それを占う年となりそうだ。