【マンション業界の秘密】2018年は「市場データ」開放元年か ネットに評価額提示、中古取引が身近に

業者しかアクセスできないレインズのデータにはお宝がたくさん眠っている(写真と本文は関係ありません)

 中古マンション市場においては、仲介業者と一般消費者(以下、エンド)の間に存在する「情報の非対称性」が大きいと言われてきた。

 簡単に言うと、仲介業者はレインズ(不動産流通標準情報システム)のデータを見られるが、エンドはそれができない。レインズには、現在売り出し中のほとんどの物件が登録されているので、市場の実情が把握できる。さらには過去の成約実績も見ることができるから、おおよその相場観がつかめる。

 仲介業者はレインズを見ることによって、エンドよりも情報面で優位に立てる、というワケだ。

 しかし、状況は徐々に変わりつつある。現在、ネット上には全国に約630万戸あると言われる中古マンションをすべて網羅するようなサイトが出現しつつある。そういったサイトには、そのマンションを評価する指標が出ていたり、住戸別の評価額まで示しているケースもある。

 例えば「マンションレビュー」というサイトでは、物件別の「偏差値」を表示している。自分の所有しているマンションの偏差値が分かるとなると、それは見てみたくもなるだろう。

 こういったサイトを利用すると、仲介業者が見ているレインズと同等か、それ以上の情報を得ることさえできる。これまでに存在した「情報の非対称性」は、どんどん縮小しているのだ。

 そもそも、レインズの情報をエンドに開放しないという現行制度の意味が分からない。ただ、仲介業者の優位性を守っていることでしかない。

 先日、ある仲介業者の集まりで講演する機会を得た。そこで「レインズの一般開放は近未来的にあり得る」という話をした。仲介業者にとっては嫌な話であるはずだ。ところが講演後の懇親会で、彼らのリーダー格のある人がこう言った。

 「実は僕たちの勉強会では『レインズの一般開放』について話し合っています。榊さんのおっしゃる通り、エンドさんにとってレインズを開放することのデメリットは何もありませんから」

 正直、私はかなりびっくりした。それまで私の周りの仲介業者に「レインズの一般開放」の話をすると、良くも悪くもまるで「人類が火星に降り立つ」ような扱いであったからだ。

 しかし、レインズを一般開放しなくても、現実はさらにその向こうまで進んでしまうかもしれない。自分の所有するマンションの市場価値は、ネット上のサイトをいくつかのぞけばかなり正確に分かってしまう状況が、早ければ2018年中に実現してしまうかもしれないのだ。

 実は私も市場動向を読むためにいくつかのサイトをよく利用している。しかし、現状はそういったサイトの示す評価が、やや甘いものもある。市場価格とは思えない評価が出たりするのだ。しかし、ああいうサイトは日進月歩。というか数日でかなり改善することもある。

 こういった進化で、中古マンションの取引はますます身近になる。仲介業界は歓迎すべき事態だと思うのだが…。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。