【マンション業界の秘密】不動産市場は今、バブルか? 過去2回のバブル生成と崩壊の過程からすると…

新築、中古とも全体的に販売が鈍ってはいる(写真と本文は関係ありません)

 先日、とあるメジャーな経済誌が「バブル」の特集をしていた。議論は、今の株価や不動産市場がバブルなのか、というところから始まる。

 私の考えでは、不動産については局地的にバブルだが、株価は必ずしもバブルとは言い難い。

 不動産については東京都心やその周縁、城南、湾岸エリアや川崎市、京都市の一部で説明できないレベルにまで価格が上がってしまっている。

 例えば、東京の山手線の内側では、年収1000万円のサラリーマンでも、新築のファミリータイプ(70平方メートル)が購入しずらいところまで価格が上がってしまった。実際の需要が押し上げたのではなく、投機・投資や相続税対策の購入がそれを支えた。これをバブルと言わずして何というのか。

 ■シグナルに注目

 株価の場合は上昇の要因を説明できる。単純に企業の業績がいい。銀行や輸入関連銘柄を除き、多くの企業でこの3月期には過去最高益を更新すると予測されている。これを後押ししたのは円安に低金利。金融緩和のおかげだ。

 経済の底を支える個人消費の成長に基づかない好景気のため、やや危うい側面もあり、その面だけで見ると、株価上昇は「金融緩和バブル」と言えなくはないが…。

 さて、仮に今の日本経済が幾分かでもバブルになっていると考えると、それが終わるのはいつか。興味深いシグナルが出ている。

 まず、主要な経済誌が「バブル」というワードを掲げて特集を組んでいるということは、そうすれば雑誌が売れる、と考えているからだ。つまり、多くの人々は「今はバブルなのでは?」と思い始めているという“指標”である。

 次に、一部のエコノミストなどが「これはバブルではない」と否定を始める。なぜかと言うと、世間の大勢がバブルになっているときは、反対の言説を行うと注目を浴びる。そういう気持ちは分からないでもない。

 この2点から、多くの人は「今はバブル」だという認識をもっている可能性があり、それが「いつ終わるのか」ということに注目しだしているとも言える。

 ■ピークは過ぎた

 私は不動産市場における過去2回のバブルの生成とその崩壊の過程を見てきた。そのほか、ITバブルの様子も横目で眺めてきた。いずれも、世の中が「これはバブルだ」と認識しだした時には、もうピークは過ぎていた。

 マンションについては、新築で2016年の中盤、中古で17年の前半くらいがピークではなかったかと考える。今は新築、中古とも在庫の山になっている。新築市場は3月の決算に向けて値引きが広がるだろう。中古市場も緩やかに軟化する。

 ただ、今回の不動産バブルはいまのところ、大きく崩れる要因がない。業績を悪化させている不動産会社もみられない。経済全体が静かな好調を保っているため、販売不振が顕在化してこないのだ。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。