【介護離職に備えよ】親の物忘れを「年のせい」で放置するリスク 子世代に返ってくること忘れるな

65歳以上の認知症患者数と有病率の将来推計

 先日、上場企業の取締役から独立してコンサルティングをしている知人が、筆者のオフィスを訪れた。実に10年ぶりの再会だったが、彼は「僕もここにきて、まさに高齢の“親のこと”まっただ中ですよ」と語ってくれた。彼の父親は80代だが、最近になって認知症であることがわかったのだという。

 父親はお堅い職業に就いていたのだが、数年前にリタイアして悠々自適な暮らしをしていたはずだった。ところが、ある日突然、帰るべき自宅がわからなくなり、交番から彼に電話が入ったことから認知症が判明したそうだ。

 慌てて迎えに行った彼はその後、父親を郊外のサービス付高齢者向け住宅に転居させ、毎週様子を見に行っているという。これまでは年に2、3回しか顔を合わせることのなかった父親と、今では毎週顔を合わせることになったのだ。

 以前、当欄でも書いたが、親が軽度の認知症になっても、「物忘れが激しくなったのは年のせいだから仕方ない」と子供たちが放置してしまうケースは少なくない。それが後日、大きなリスクとして自分たち(子世代)に返ってくることを忘れてはならない。

 実際、2012年には462万人(65歳以上の高齢者の7人に1人)だった認知症患者は、団塊世代が全員75歳を迎える2025年には700万人(65歳以上の高齢者の5人に1人)になると推計されている。

 少しでも違和感を覚えたら、早期に医師に診てもらうことが大事だが、「認知症の病院に検査に行こう」と声をかけられた親が抵抗感を持つことも考えられる。そこで、例えば、まずかかりつけ医に診てもらい、その結果を踏まえて、専門医を紹介してもらうというやり方もある。

 いずれにしても、親の小さな変化や気になる行動はメモしておき、受診の際に医師に伝えると、より正確な診断ができる。本人を前にして言いにくいことがあるならば、事前に医師にメモを渡しておくのも手だ。

 何事も子世代が早めに動くことが介護離職を防ぐことになる。

 ■「親のこと」相談受け付けます

 高齢の親が抱える問題は、すべての子世代が直面する問題で、悩みは人それぞれです。そこで夕刊フジは、当欄執筆者の大澤尚宏氏が代表をつとめる「株式会社オヤノコトネット」と協力し、読者からの相談を個別に受け付けます。老後のお金や老人ホームの選び方、相続などの「親のこと」について、知識と経験豊富なオヤノコトネットの相談員がアドバイスします。

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 ■大澤尚宏(おおさわ・たかひろ) オヤノコトネット(www.oyanokoto.net)代表取締役。1995年に日本初の本格的バリアフリー生活情報誌を創刊。2008年、「そろそろ親のこと」(商標登録)をブランドにオヤノコトネットを創業し、「高齢期の親と家族」に関わるセミナー講師や企業のマーケティングアドバイザーとして活躍している。