【マンション業界の秘密】新築マンションの値引きオンシーズン、交渉しないと損 売れ残りには福がある…とはかぎらない物件も

いくらなら買う、とはっきり伝えることだ(写真と本文は関係ありません)

 毎年、年明けから3月初旬までは新築マンションの値引きがオンシーズンになる。理由は簡単。この時期、デベロッパーは決算を控えて在庫処理に乗り出すからだ。つまりは「売れないものは値引きしてでも売ってしまえ」という動きにでる。買う側にとってはチャンス到来ということになる。

 私は東京23区中20区と川崎市の半分、大阪市、京都市などで売り出される新築マンションのほとんどをチェックしている。特に首都圏では、現地まで出かけて行って資産価値を判断するケースが多い。何といっても、マンションの価値は立地で9割以上が決まるからだ。

 最近の特徴は、局地バブルに合わせて高値で売り出したけれども販売は不振。建物が竣工した後も販売が続く完成在庫が多くなったこと。特に東京の城南エリア(港区、品川区、目黒区、大田区)では「在庫の山」になっている。

 当然、この3月までに在庫をさばこうとする動きになり、値引き販売となる。

 このコラムでも何度か値引きマンションの見つけ方を紹介したが、もう一度おさらいしておく。

 まず、建物が完成しても販売が続いている物件は、9割以上で何らかの値引きが行われていると言っていい。あるいはこの1月や2月に竣工を迎える物件でも、そのほとんどが値引きを行うはずだ。

 ただし、財閥系の、ある企業とカタカナ系の某一部上場デベロッパーの2社は、基本的に値引きをしない。その2社が売主になっている完成在庫で値引き交渉を持ち掛けても、冷たくあしらわれる。その2社以外のデベロッパーの完成在庫では、ほぼ値引きが行われると考えてよい。

 値引き交渉は難しくない。単純に「○○○○万円なら買いたいのですが、値引きは可能ですか」と販売担当者に持ち掛ければいい。むしろ、下手なテクニックは使わない方がいいだろう。

 販売担当者の多くは、値引きを持ち掛けてくる客が本気で買うかどうかを最重視する。本当に買ってくれる客だと思えば、上司に掛け合ってでも値引き額を引き出してくれる。本当に買うかどうかわからないのに、ウニャウニャと値引きを迫られても、単純に受け流されてしまう。

 気を付けたいのは、値引きを引き出したからと言っても、その物件がお買い得とはかぎらない。「値引きしないと売れなかったマンション」というレッテルが付いて回る。

 新築の時に売れ行きが順調だったかどうかを、地元の不動産屋は割合正確に把握している。

 先日も業界関係者と話していて、とあるタワーマンションの話になった。「あの物件は販売途中にバブルが終わって、完売までは相当苦しみましたね」という話題で盛り上がった。もう30年近く前の話だが、それでもお互いの記憶に残っている。

 売れ残りには福がある、とはかぎらないが購入するならこの時期、値引き交渉をしないと損をする。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。