【介護離職に備えよ】企業も対策迫られる「大量離職時代」 老人ホーム利用できず仕事辞めて介護、一人で抱え込むケースも…

年老いた親を子供が担うのは容易なことではない(写真と本文は関係ありません)

 2020年の東京五輪・パラリンピックまで、あと2年と迫ってきた。当欄で筆者が再三指摘しているとおり、介護離職が激増し、社会問題としてさらに顕在化するのも20年ごろからだろう。そういう意味では、五輪に浮かれているばかりでは危ないと言いたい。

 20年には団塊ジュニアも50代に突入する。彼らは生涯未婚率が高いことや、きょうだいが少ないことなどから、親の介護を誰かと分担できない可能性が高い。

 50代前後となれば、会社でも責任ある仕事を任されているだろうし、管理職も多いだろう。企業にとっても手痛いことなのだが、知人の会計士によると、まだ介護離職対策について疎い経営者も多いという。

 年老いた親を子供が担うのは容易なことではない。当連載では「老人ホーム」という選択肢について度々触れてきたが、経済的な余裕がなければホームに入れることもままならない。さらに、きょうだいがいても介護の分担はうまくいかないというケースも、筆者は多数見てきた。きょうだいの誰かに介護を押し付けてしまうことは、よくある話なのだ。

 その結果、きょうだいの誰かが介護を一人で抱え込み、介護離職に追い込まれることになる。離職までいかなくとも、仕事をしながら親を介護するとなれば、仕事への集中力は確実に落ちる。作業効率が低下するということを経営者が理解できれば、この課題解決に一歩踏み出せる気もするのだが…。

 総務省の調査によると、働きながら介護している人は約240万人で、そのうち3人に1人は「働きながらの介護は厳しい」と回答している。また、介護離職すれば、その後の再就職も難しい。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングが介護離職者を対象に行ったアンケートでは、離職後に正社員として再就職できた人は49・8%(ほぼ半数)。契約社員やパートタイムなどを除けば、24・5%が仕事をしていないと回答していた。なんと、4人に1人は仕事を見つけることができなかったのである。

 やはり、介護離職はできる限り避けるべきであり、そのためにも、早い段階から親やきょうだいと今後のことを話し合っておくべきなのである。

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 高齢の親が抱える問題は、すべての子世代が直面する問題で、悩みは人それぞれです。そこで夕刊フジは、当欄執筆者の大澤尚宏氏が代表をつとめる「株式会社オヤノコトネット」と協力し、読者からの相談を個別に受け付けます。老後のお金や老人ホームの選び方、相続などの「親のこと」について、知識と経験豊富なオヤノコトネットの相談員がアドバイスします。

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 ■大澤尚宏(おおさわ・たかひろ) オヤノコトネット(www.oyanokoto.net)代表取締役。1995年に日本初の本格的バリアフリー生活情報誌を創刊。2008年、「そろそろ親のこと」(商標登録)をブランドにオヤノコトネットを創業し、「高齢期の親と家族」に関わるセミナー講師や企業のマーケティングアドバイザーとして活躍している。