【定年後 難民にならない生き方】悪徳業者から親を守る対策を 背景に孤独感、被害あっても責めるのは禁物「『息子に叱られる』と泣き寝入り」

独り暮らしの高齢者を狙う悪徳商法は後を絶たない

 訪問販売や電話勧誘販売などのルールを定めた「特定商取引法」が昨年12月に改正施行された。悪質な業者への罰則は厳しくなり、従来は訪問販売のみだった「過量販売(日常生活で通常必要とされる量を著しく超えた販売)の規制」は電話勧誘販売にも拡充。たとえば、独り暮らしの高齢者が大量の布団や化粧品を売りつけられた場合、契約から1年以内であれば、無条件で解約できる。

 規制強化の背景には相次ぐ高齢者の被害があるとされる。年老いた親が悪質なセールスの被害を受けるのではないかというのは、誰しも気になるところ。離れて暮らしていたらなおさらだ。果たして、この改正はどの程度、効力を発揮することが予想されるのか。専門家に聞いてみた。

 「悪徳業者に対する抑止力という意味では大きな前進ですし、救済措置も拡充されました。でも、被害に遭えば、精神的にも経済的にもダメージを受けることに。できる限り被害に遭わないよう、自衛策を考えることが大切です」

 こう解説するのは生活総合情報サイト、オールアバウトの「防犯」ガイドで安全生活アドバイザーの佐伯幸子氏だ。

 高齢者が悪質なセールスの被害を受けやすい背景には「孤独感」があると、佐伯氏は指摘する。

 「とくに被害に遭いやすいのは、高齢者の独り暮らし。寂しい思いをしていたところに、優しく話しかけられたら、気を許してしまうのも不思議はありません。頼られたらノーと言えない。悪徳業者はこうした特性をよくわかっていて、弱みにつけこむのです」

 玄関のドアチャイムが鳴ったとき、「はーい」と玄関を開ける習慣は、悪徳商法被害への第一歩。モニター付きインターフォンを導入し、「見知らぬ訪問者には玄関を開けない」を徹底するのも、大切な自衛策のひとつだとか。

 「とはいえ、長年の習慣を変えるのは本来、難しいもの。親に『気をつけて』と言うだけでなく、費用を出して対策をしてあげれば被害を避けられ、親子とも安心できるでしょう」

 いくら心配だからといって、ガミガミ注意するのは逆効果。万が一被害にあった場合も、親を責め立てるのは禁物だ。

 「被害に遭っても『息子(娘)に言うと叱られるから』と泣き寝入りする高齢者が後を絶ちません。まずは子供側が、親の不安や寂しさを理解することが重要です」

 被害を未然に防ぐのはもちろん、万が一のときの被害を最小限に抑える。そのためには親子関係の見直しと再構築が欠かせない。

 ■島影真奈美(しまかげ・まなみ) ライター/老年学研究者。1973年宮城県生まれ。シニアカルチャー、ビジネス、マネーなどの分野を中心に取材・執筆を行う傍ら、桜美林大学大学院老年学研究科に在籍。「ホテル業界の高齢者雇用」をテーマに論文執筆を進めている。