【マンション業界の秘密】狙われるマンションの管理費&修繕積立金 管理組合の深い闇、「議長一任」は危険

管理組合を他人任せにしていると、あらぬ事態に陥ることもある(写真と本文は関係ありません)

 最近、取材もかねてだが、マンション管理に何らかの形で携わる人と話す機会が多い。さまざまな話を聞けば聞くほど、マンション管理の深い闇を感じる。

 多くの人は自分が購入した物件の管理について、半ばひとごとと考えている。それで大過ない場合もあるが、傷口が広がり続けている可能性もある。

 分かりやすく言うと、マンションの管理は政治である。

 購入すると、区分所有者になり、管理組合の一員となる。これは区分所有法で定められているので、「管理組合には入らない」といった選択肢はない。区分所有者は自動的に管理組合の構成員になる。

 区分所有者は、自分のマンションの管理に関わる費用を負担しなければならない。名目としては管理費とか修繕積立金。いわば税金のようなものだ。

 日本人は自分が払った税金がどのように使われているかについて、欧米の民主主義先進国の人々よりも関心が低いのではないかと思われる。使われ方に目を光らせるのは、民主主義の基本である。

 同様に、自分が払っている管理費や修繕積立金がどのように使われるのかについて、区分所有者は関心を持つべきだ。だから、マンション管理とは政治なのである。

 政治を担う市区町村や特別区は、集められた税金をどのように使うかを議会の承認のもとに決める。そこには当然のように利権が発生する。権限のある者が自分の息のかかった業者に公共事業を発注し、裏でキックバックをもらえば汚職。露見すれば、逮捕されて罰せられる。

 マンションの管理も、規模が小さいだけでこの仕組みは同じ。集められた管理費や修繕積立金をどのように使うのかは、基本的に理事会で決める。理事会を束ねるのは理事長だ。

 最終的には区分所有者が票を投ずる総会の決議を経るのが正式な手続き。ただし、ほとんどの管理組合では、総会に出席して議案の決議に参加するよりも「議長一任」の委任状を提出する区分所有者が全体の半数前後を占める。

 つまり、総会の議長を務める理事長の意志がもっとも重要になる。言ってみれば、理事長は独裁権を持っているに等しい。

 500戸以上のマンションになれば、1年間に集められる管理費や修繕積立金は億を超える。2億円以上の予算を執行している管理組合もザラにある。

 そして、事実上、理事長にその権限が集中する。善意だけでその職務を遂行していれば問題ないが、そこは魚心あれば水心。さらに言えば、管理を請け負っている管理会社はあの手この手で理事長を籠絡してくる。

 自分が購入したマンションの管理組合を改めてチェックした方がいい。長期にわたって事実上支配している人物はいないか。その人物は管理会社と不自然に親しげではないか。そのあたりが見分け方の第一歩だ。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。