【大前研一のニュース時評】ソフトバンク、ヤフー、イオンがアマゾンに対抗 物流の大きな補強ないと難しく

物流を制したアマゾンに日本勢は対抗できるか(AP)

 ソフトバンクとヤフー、そしてイオンの3社が、共同でインターネット通販事業に乗り出す方針を固めた。小売り最大手のイオンの店舗と物流網、ソフトバンク、ヤフーという業界の雄が持つITノウハウを組み合わせて、新たなサイトを開設する。これはネット通販で圧倒的な存在感を示すアマゾンに対抗する動きだ。

 私は1990年代から講演などで、「eコマース(電子商取引)などネットビジネスで成功するには、多くのお客を呼び込む『ポータル』、ユーザーから商品の代金を受け取る『帳合』、商品を届ける『物流』の三種の神器が必要だ」と主張してきた。それを実証したのが94年創業のアマゾンだ。

 株取引の自動化システムの会社の副社長を務めたジェフ・ベゾス氏が創業したアマゾンは、まずネット書店を開設し、多数の客を呼び込んだ。そして、利用者にクレジットカードの登録をさせ、ネットで「カゴ」に入れるだけで済むようにして「帳合」を拡大した。

 私は90年代の講演でもうひとつ、「アマゾンが黒字を出すようになったら恐ろしい会社になる」とも指摘した。その最大の理由は「物流」にある。アマゾンは当初、本を迅速に届ける物流センターと物流システムをひたすら整備した。その後も、商品を届けるシステムをひたすら作ってきた。

 ただ、本やDVDのように、それしか選択肢がないものと違い、靴や服、家具などは、注文後に「色調、好みが違う」と返品されることもある。アマゾンも最初は家具に参入して失敗した。

 そこで2009年、ベゾス氏は靴のネット販売で急成長した「ザッポス」を1000億円以上で買収した。「ネットでは売れない」と言われた靴を「返品自由」にしたビジネスモデルが確立されていたからだ。

 これを靴だけでなく、ファッションや家電、日用品などにも広げた。返品自由にできた理由は、アマゾンが世界最強の物流を持ったからだ。

 日本の場合、本は再販制度の下に定価販売が義務づけられているため、マージンが大きい。このマージンを使って巨大な物流システムを作った。

 さらに12年、倉庫用の自走式ロボットのシステム開発を手がける「キバ・システムズ」も買収した。これは商品棚の間を多数のロボットが走り回って出荷用の段ボール箱を集めたりするもので、省力化によって人件費の削減、出荷作業の効率化につなげた。こうしてアマゾンは世界最強の物流システムを築き上げたわけだ。

 一方、ソフトバンクやヤフーは、物流についてはまだ死にもの狂いではやっていない。イオンも店舗中心で配送用のシステム構築はまだまだ質素だ。この違いは大きい。

 3社は商品や販売、ITシステムについてはノウハウを持っているが、物流について命がけでやってくれるパートナーが見あたらない。アマゾンに対抗する勢力になるにはその点を大きく補強しないと難しいだろう。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。