【マンション業界の秘密】拡大する新築・中古マンションの価格差 販売不調で完成在庫の山、郊外では10年で価値半減

最近、中古の取引価格が鈍くなっている

 マンションの事業用地が高止まりのまま動かないばかりか、さらに上昇している気配さえある。

 その結果、東京の都心や城南、一部城東エリアで販売される新築マンションは、2018年も値上がり傾向を続けそうだ。この動きは大阪市の一部でも顕著になってきている。

 4月以降は最高益更新の決算発表が続くので、景気全般には好況感が続くと予想できる。そういう流れの中では、都心やその周縁の土地の価格は下がらないだろう。その結果、新築マンションはより高い価格で売り出されることとなる。

 しかし、現実の市場を見ると、販売はかなり不調である。特に城南エリアでは販売中物件の半数以上が完成在庫になっている。

 その理由は、景気がよくなって企業がもうかっていても、それが個人所得には反映されていないためだ。収入が上がらなければ、高騰した物件は購入できない。

 その結果どうなるのか。市場には売れ残った新築が積み上がり、値引き販売が行われる。今年の2月から3月の新築マンション市場は、昨年以上に値引きで盛り上がるのではないか。

 一方、一部の人気エリアを除いて中古の市場も停滞している。売り手はネットなどで見えている他物件の売り出し価格に合わせた値付けを行うが、買い需要は高くない。

 15年や16年のように相続税対策や外国人の爆買いといった需要は、すっかり影を潜めてしまった。後は、どの時点で需要と供給の関係が市場に反映されて、下落が始まるかということだ。

 都心で供給される新築は、事業用地の確保でホテル業者と競合する。さらに、建築費は人手不足が続いているため、下落場面が想定し難い。新築の価格には強力な下方硬直性が生まれている。

 需給関係で決まるとなると、中古マンション市場の方がより早くその影響が反映されるはずだ。中古はほぼ個人間の取引。換金を急ぎたい個人の売主が多くなれば、価格は自然と崩れていく。

 郊外では、すでに新築の売り出し価格が、周辺の築10年程度の中古の2倍になっている。逆に言えば、郊外で新築を購入すると、10年で資産価値が半減するということだ。

 そういう情景を見せられている郊外の人々は、自然に新築を買わなくなる。そして、郊外で起こっている新築と中古の価格が大きく乖離する現象が、都心に向かってじわじわと進んできている。

 このまま新築の値上がり傾向が続けば、18年の後半にはこういった乖離現象がハッキリと見えてくるはずだ。それが市場全体が下落基調に転ずるキッカケになる可能性も考えられる。

 価格を下げられない新築マンションは、ますます供給戸数を減らしていくだろう。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。