【定年後 難民にならない生き方】救急車を呼ぶかどうか迷ったら… アプリで緊急性を確認

全国版救急受診アプリ「Q助」の画像。救急車を呼ぶべきかどうか、判断がつかないときに便利だ

 救急車の過剰要請は社会問題のひとつとしてメディアにもたびたび取り上げられてきた。

 消防白書(2017年版)によると、全国の救急車の出動要請は昨年1年間で620万9964件と、7年連続の過去最多を記録した。中には、タクシー代わりに呼ぶなど身勝手な理由も少なくないという。緊急度の低い救急要請が重なれば、救急現場の負担は重くなる。「救急車が足りない」「搬送先が見つからない」といった“救急難民”を引き起こしかねないという指摘もある。では、どうすればいいのか。

 東京消防庁では、救急車を呼ぶかどうか迷ったときの相談窓口として「救急相談センター」(#7119)を開設している。#7119に電話をかけると、相談医療チーム(医師や看護師、救急隊経験者などの職員)が24時間年中無休で対応。「症状にもとづく緊急性」「受診の必要性」「医療機関の案内」などについてアドバイスがもらえる。

 この救急相談センターの取り組みは全国に広がりつつある。東京都以外では、宮城県や埼玉県、大阪府、奈良県、福岡県が全域に導入。また、札幌市や横浜市、神戸市、田辺市など市区町村単位で実施しているエリア、山形県や栃木県、香川県、千葉県など#7119以外の独自の番号で類似サービスを実施している自治体もある。

 さらに、昨年5月には総務省消防庁が、スマートフォン向けの全国版救急受診アプリ「Q助」をリリース。アプリを起動させると、病気やけがの症状にまつわる質問が表示される。あてはまるものを選んでいくと「いますぐ救急車を呼びましょう」「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう」「緊急ではありませんが医療機関を受診しましょう」など緊急度が示される仕組みだ。

 日常的にスマホを使っている人であれば、ダウンロードしておけば、いざというときの判断の助けになるだろう。

 だが、気になるのは高齢の親への対応だ。離れて暮らす親からSOSがあった場合、どう判断すればいいのか。

 「高齢の方から具合が悪いと訴えがあり、ご家族では判断がつかない場合は救急車を呼んでください」(東京消防庁・広報)

 救急隊員が現場で脈拍や血圧などのバイタルサイン、症状を確認。その結果、必要がなければ、救急搬送しないケースもあるという。

 「自力で病院に行くのが面倒だから」などの理由で救急要請するのは論外だが、遠慮が過ぎると深刻な症状を見逃しかねないのだ。

 ■島影真奈美(しまかげ・まなみ) ライター/老年学研究者。1973年宮城県生まれ。シニアカルチャー、ビジネス、マネーなどの分野を中心に取材・執筆を行う傍ら、桜美林大学大学院老年学研究科に在籍。「ホテル業界の高齢者雇用」をテーマに論文執筆を進めている。