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【田村秀男 お金は知っている】賃上げだけで脱デフレ可能なのか 「暮らし向き悪くなった」という家計が多い理由 (2/2ページ)

 元凶ははっきりしている。14年4月の消費税増税である。消費税率3%の引き上げは消費者物価を2%程度押し上げるのだが、賃金水準はゼロ・コンマ台しか上がらない。安倍政権は一貫して脱デフレを最優先すると宣言してきたが、消費税増税という真逆の政策を受け入れて、脱デフレ軌道を自ら壊したのだ。

 安倍首相はさすがにこの誤りに気付き、消費税率10%への引き上げを2度にわたって延期した。19年10月には非常事態でもない限り再増税を実施すると昨年の参院選時に公約した。増税に伴うデフレ圧力をかわすための条件が3%賃上げというわけだ。

 ここでもう一度、グラフを見よう。第1次安倍内閣の07年までの数年間、賃金水準は物価水準を超える幅で回復した。要因は当時の日銀の量的緩和と円安、輸出の好調だったが、08年9月のリーマン・ショックが勃発し、急落する物価よりも急激に賃金が落ち込み、先進国で最も厳しいデフレ不況に陥った。

 今回も日銀の異次元金融緩和、円安、輸出という3点セット頼みの脱デフレ期待である。日銀の黒田東彦総裁は23日の政策決定会合で緩和策の続行を決めたが、円安と輸出増が続くとは限らない。

 脱デフレを確実に実現するためには内需をしっかりと拡大させる政策、言い換えると財政支出を金融緩和に組み合わせることが欠かせないはずだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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