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【AI時代の発想術】提案、リサーチ、会議に参加 AIが変える製品開発風景

 AI(人工知能)は膨大な情報の中から目的に役立つコンテンツを瞬時に発見し、それらを組み合わせて最適な解を出し、さらに今後起きるであろうことも予測する。

 AIが職場に加わると仕事の風景はどう変わるのか、架空の製品開発を例に説明しよう。

 まず、開発担当者がAIに次のような指示をする。

 「新製品開発のための情報を世界中から集めろ。そのうえで、わが社のキャパシティで実現可能な具体案を優先順位をつけて3案出せ。その案をもとに、他社にはできないアイデアを考えたい」

 数分後、AIは3案を出してきた。担当者はその案を見て思う。『優等生的な案だが、わが社の特性を生かした独自案にしなければ、他社と市場を奪い合うことになってしまう』。そこで、追加の命令を出す。

 「これまで集めた情報をもとに、わが社の技術を生かせる製品案をまた3案出してくれ。それぞれに初期投資額と損益分岐点のデータも付けてくれ。もしも、わが社の技術だけで市場で優位に立てないなら、外部の技術者を雇用する。その人選と雇用条件も一緒に用意してくれ」

 15分後、AIからの回答が出た。だが、既存の情報をもとにしたものなので、まだ独自性が足りない。まったく新しい発想はAIにはまだ荷が重いのだ。

 そこで担当者は社内SNSを使って、この製品に興味のあるスタッフを募集した。3人がエントリーしてきたので、30分間の集中的なブレストを行うことにした。その中に、AIも匿名で参加させることにした。

 “さくら役”のAIは、すでに世に出ているアイデアやコンセプトをあえて提案し、他のメンバーがそれをヒントにアイデアを提案するきっかけを作った。同時にAIは全員の発言を整理し、全体像がわかるように図解していく。

 各人のアイデアが一通り出尽くしたところで、担当者は突然、「ところで、地球の自転が逆回りになったらどうなるんだろうな?」と意表を突く発言をした。続けて、「例えば製品の使い方を逆にすると、どんなことになるだろうか」「ユーザーが右利きから左利きになったら、製品はどう変わるだろうか」と次々に書き込んでいく。

 これはマンネリ化しそうになったブレストに新風を吹き込む手法だ。その結果、メンバーの1人から「◯◯という概念の新製品が登場すれば、従来商品は不要になりますね」というアイデアが出てきた。

 担当者は早速、その製品の具体化と市場での価値をAIに分析させるとともに、3Dプリンターでプロトタイプを作るよう指示した。その後、その製品を自宅で試しながら、さらなる改良をAIに指示することを繰り返し、新製品の完成にこぎ着けた--。

 AIが普及すれば、こうした製品開発風景は日常的なものになるだろう。(プランナー・久保田達也)

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