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【経済快説】ゆうちょ銀「預入限度額撤廃」のメリット 利用者の利便性優先した判断 (1/2ページ)

 政府の郵政民営化委員会(岩田一政委員長)が、ゆうちょ銀行の通常貯金について、預け入れ限度額の対象から除外することを容認する見通しとなった。この規制を撤廃しても、民間銀行の業務を強く圧迫することはないのではないか、との判断に傾いたようだ。

 民営化以前の郵便局の郵便貯金時代から、民間銀行と郵貯との間では民業圧迫を巡る議論が延々と繰り広げられてきた。郵政民営化は目下、中途半端であり、政府が株式を持つ日本郵政傘下のゆうちょ銀行が、政府の信用を背景に預貯金を集めることに対して民間銀行の反発があった。

 このため、ゆうちょ銀行の通常貯金については、長らく利用客1人当たりの上限が1000万円とされてきたが、2016年にこれが1300万円に引き上げられ、今回、この上限自体を撤廃することが検討されている。

 昨今の金融環境では、民間銀行も、預金を集めても収益性のある貸出先が乏しく、日銀当座預金が一定額を超えると実質がマイナス金利の預金となる手数料を取られるし、低金利の環境下で、集めた資金の運用に苦労している。確かに、こうした環境下では、預金集めを巡る深刻な競合は起こりにくい。風当たりが弱い環境を利用して、規制緩和を進めようとしているとも言えようか。

 一方、ゆうちょ銀行は日本郵政が約74%の株式を持つ筆頭株主で、政府は日本郵政の株式を80%強持つ株主であり、資本関係で見て、実質的に政府の支配下にあるので、環境が変わると民業圧迫の可能性があり、通常貯金の上限金額撤廃には慎重であるべきだとの意見もある。資金獲得競争の条件を巡る以前からの議論の延長線にあっては、こうした議論が「筋論」として残るのは致し方ない面がある。

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