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【定年後の居場所】定年退職は人生の区切り 組織から個人へ、これからは自身で行動選択 (1/2ページ)

 定年退職の日、会社からまっすぐ家に帰ると、妻が「ご苦労さま」と迎えてくれた。持ち帰った私物と花束を机の上に置いて着替えをしていると、宅配便の配送員が玄関のチャイムを鳴らした。妻が受け取ったのは、妹から送られた大きな花束とメッセージカードだった。

 そのカードには、家族を養うために我慢して会社勤めを全うしたことに対するねぎらいと、妻のおかげだから感謝して定年後も仲良く過ごしてほしいと書かれていた。

 それを読んだ時に、こみあげてくるものを押さえきれず、思わず声を上げて泣いた。数年前に亡くなった母からの言葉かとも思った。

 多くの定年退職者に話を聞いてみると、やはり退職した当日のことを鮮明に覚えている人が少なくない。彼らは妻や子供たちから思いがけないプレゼントや感謝のメッセージをもらった話を語る。なかには田舎に住む義理の父母から、一家の大黒柱として娘と孫たちを守ってくれたことに対するお礼の手紙をもらった人もいる。

 会社生活では、営業目標を達成して仲間同士肩を抱き合って喜びあったり、長く付き合える親友を得た人もいるだろう。また初めてチームリーダーとなって、はつらつと働いた当時を思い起こしたり、課長に昇進した時の記憶を呼び戻す人もいるかもしれない。

 他方で、会社員は必ずしも満足して会社生活を送っているのではない。そりの合わない上司に自分を押し殺して仕え、わがままな顧客に対しても作り笑顔でなんとかやり過ごし、自分に対する会社からの評価が納得できなくても自分や家族のために働き続けてきた。家で「辞めたい」と幾度となくつぶやいた人もいるだろう。

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