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【図解で分かる「決算書」の仕組み】“逆風”を値上げで吸収できるか、正念場が続くヤマトホールディングス

 本日は、宅配便最大手のヤマトホールディングスをピックアップする。直近の同社の実態はどうなっているか、2018年3月期の決算書をもとに読み解いてみよう。

 まず、貸借対照表=〔1〕=を見てみよう。資産規模が1兆円を超え、その約半分を純資産が占めている。財務基盤は磐石で、安全性については全く問題ない。

 次に、損益計算書=〔2〕=を見てみよう。売上高は、宅急便取扱数量を抑えたものの、大口法人顧客に対する料金値上げ効果で増加した。しかし、粗利益率が5・6%しかなく、経常利益率もわずか2・3%である。2期連続で減少が続いていた利益額がようやく増加に転じたが、利益率としてはいまだ横ばいである。3年ほど前までは経常利益率が5%前後だったことと比べると、収益力は回復途上と言える。

 最後に、キャッシュ・フロー計算書=〔3〕=を見てみよう。未払い残業代の支払いをしたため、営業C/Fは前の期よりも減ったものの黒字を保っている。潤沢な手許資金により、将来への投資や借入金の返済も引き続き行っている。

 労働集約型の同社にとって、非正規社員の正社員登用や賃金引上げなどは、まともに業績に影響を受ける。その影響を、宅配料金値上げ拡大でどこまで吸収できるか。正念場が続く同社の動向に注目したい。

 ■川口宏之(かわぐち・ひろゆき) 公認会計士、早稲田大大学院非常勤講師。1975年、栃木県出身。専修大経営学部卒。図を多用した会計に関するセミナーは会計の素人にも分かりやすいと評判。著書に『決算書を読む技術』(かんき出版)。

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