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【図解で分かる「決算書」の仕組み】「メルカリ」 上場で500億円上乗せ調達、安全性の懸念を一気に払拭

 本日は、フリーマーケットアプリ運営のメルカリをピックアップする。

 6月19日に東証マザーズに上場することが決まった同社であるが、その実態はどうなっているのか。2017年6月期の決算書から読み解いてみよう。

 まず、貸借対照表=〔1〕=を見てみよう。資産に対する純資産の割合は8%程度しかなく、安全性の目安である30%を大きく割り込んでいる。しかしながら、上場時の新株発行で500億円規模の資金調達を予定している。44億円未満の純資産に500億円が上乗せされるので、安全性の懸念は一気に払拭されるだろう。

 次に、損益計算書=〔2〕=を見てみよう。ユーザー同士の取引量に応じて発生する手数料が同社の売上になるため、売上原価はほぼなく、高い売上総利益率(粗利率)となっている。ところが営業利益が27億円もの赤字である。その主な要因は141億円もの広告宣伝費にある。広告を抑えれば黒字確保は可能だが、その選択はしない。CtoC事業で圧倒的な地位を築こうとする同社の強い意志が感じられる。

 最後に、キャッシュ・フロー計算書=〔3〕=を見てみよう。営業C/Fはプラスを保っており、本業できちんとキャッシュが回せている。財務C/Fの大きなプラスは、外部からの多額の借り入れによるものだ。

 上場後の同社のさらなる飛躍に大いに期待したい。

 ■川口宏之(かわぐち・ひろゆき) 公認会計士、早稲田大大学院非常勤講師。1975年、栃木県出身。専修大経営学部卒。図を多用した会計に関するセミナーは会計の素人にも分かりやすいと評判。著書に『決算書を読む技術』(かんき出版)。

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