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【こんな時代のヒット力】“1300分の1”から“オンリーワン”に…アサムラサキ「かき醤油」 各地で試食重ね大手寄せ付けぬ新市場に (1/2ページ)

 醤油は日本人にとって調味料の基本。その市場は大手5社が6割のシェアを占め、残りに1300の中小メーカーがひしめく。その中で明治43(1910)年創業の広島県福山市の醤油メーカー「アサムラサキ」は独自の「かき醤油」で、「1300分の1」から「オンリーワン」になった。

 開発を始めたのは92年。「醤油製造だけでは生き残れないという危機感」(藤井直訓会長)からだった。

 醤油市場は73年の129万4155キロリットル(出荷量)をピークに、2011年には82万5854キロリットルまで縮小している。味覚の多様化と少子高齢化により“胃袋”が小さくなっているためだ。

 開発にあたっては、かきのクセのある味と匂いの克服が課題となった。苦味やえぐみの少ない品種を選ぶ、入れる工程を変える、さらにどのような形で加えるかなど試行錯誤を繰り返した。味と匂いは、かきから抽出したエキスを加える方法で克服。商品化まで1年かかった。

 製品はできたが、まったく売れない。「だし醤油」というカテゴリーはまだなく、「かき醤油」は奇怪な調味料として人の目に映っていた。味の想像がつかず、用途も不明。かきを食べるための醤油と勘違いもされた。さらに、600ミリリットルで600円と値段も高かった。

 しかし、当時の藤井直彦専務(現社長)は、「絶対に売れる。今後の柱になる」とこれに賭けた。「だし文化の関西ならば、だし感の強いかき醤油を受け入れる余地がある」と自ら関西、中国、四国のバイヤーを回った。