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【定年世代の最新事情 60代への助走】どちらが楽にお金を儲けられるか 大学生の息子とアルバイト合戦 (1/2ページ)

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 この連載、前回までは将来への準備万端な人々を紹介してきた。けれども何ら見通しもなく、年金も月10万円に満たないぼんやりとした人もいることだろう。そんな一人がこのところ大学生の息子とアルバイト合戦-どちらが楽にお金を儲けられるかの勝負-を演じている筆者の私だ。

 この日は息子と一緒に東京・浅草方面にあるとある病院へと自転車で向かった。病気ではない。製薬会社A社によるアルツハイマーの発症を遅らせる新薬の臨床試験。このところ、超忘れっぽくそちらの兆候が色濃い。お金をもらって、アルツハイマーを回避できるならば、治験バイトはまさに一石二鳥だ。

 けれども健康でかつアルツハイマーの因子があるのに発症していない人のみがたどり着ける狭き門。認知症試験のほか、MRI検査、髄液採取(1泊)、皮膚検査などをへて、やっと治験対象者として認められ、その後4年ほど試薬を飲み続ける-という条件だ。

 病院では同伴者の息子と私は別々の部屋へと分けられる。私は簡単な心理検査、小脳の運動機能検査などを経て、別の階に移され若い女医と向き合う。彼女は、息子に最近の私の行動を根ほり葉ほり聞いていた。

 「ここ1週間で普段行かないところを訪問しましたか? それはどこで? 何日前ですか?」「ここ1カ月で印象深い出来事はありましたか?」

 両方ともまったく思い当たらない。ところが3日前に海外で客死した友人の葬式に参列していたし、3週間前に娘が大学入試に合格していた。女医の指摘を受けてやっと気がついた次第。この段階で、完全に自信喪失。女医も険しい表情だ。

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