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【図解で分かる「決算書」の仕組み】弱体化も豊富な資金で新事業に着手「グリー」 新市場を牛耳ることができるか

 本日は、グリーをピックアップする。同社の直近の実態を2018年6月期の決算書から読み解いてみよう。

 まず、貸借対照表=〔1〕=を見てみよう。資産に対する純資産の割合が9割以上ある。しかも、資産1253億円のうち、871億円は現預金である。かなりのキャッシュリッチ企業で、安全性の高さは相当なものだ。

 次に、損益計算書=〔2〕=を見てみよう。営業利益率が12・1%、最終利益率も6・0%と、一般的な水準から見れば収益力は高い。しかし、ここ数年は売り上げも利益も減少し続け、売上高は全盛期の半分にも満たない。営業利益率もかつては50%を超えていたことを考えると、弱体化は顕著だ。

 最後に、キャッシュ・フロー計算書=〔3〕=を見てみよう。本業で稼いだキャッシュを投資や配当に回しており、キャッシュは順調に回せているといえる。

 グリーが将来の成長事業として期待しているのがライブエンターテインメント事業だ。にわかに盛り上がりつつあるVユーチューバー(3DCGで作成した仮想キャラクターのユーチューバー)を支援する事業であるが、市場の成長性は未知数だ。グリーは当事業に100億円規模の投資を行うというが、同社の規模からすれば自己資金で十分まかなえる。豊富な資金を武器に、他社が参入する前に新市場を牛耳ることができるか。今後に注目したい。

 ■川口宏之(かわぐち・ひろゆき) 公認会計士、早稲田大大学院非常勤講師。1975年、栃木県出身。専修大経営学部卒。図を多用した会計に関するセミナーは会計の素人にも分かりやすいと評判。著書に『決算書を読む技術』(かんき出版)。

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