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【こんな時代のヒット力】プロお墨付き!直飲みもイケる炭酸水 アサヒ飲料「ウィルキンソン」

 2018年1月、アサヒ飲料(東京都墨田区)は六甲工場への20億円の投資を発表した。目的は炭酸水生産の増強である。炭酸水市場は06年から16年にかけて生産量が約7倍に拡大している。その牽引(けんいん)役が「ウィルキンソン」だ。

 販売数量は10年間右肩上がりで、市場シェアは50%を超える。その勢いを、マーケティング本部マーケティング一部炭酸グループの本松達郎氏は「販売量は年間約2000万ケース、拡大中だ」と説明する。

 ウィルキンソンは1890(明治23)年頃の発売。カクテルをつくる割り材用炭酸水として、バーやホテル向けなど業務用が中心、瓶のみの発売だった。

 転換点はハイボールブーム。ウィルキンソン自体の味にも注目が集まった。当時、糖類を含まないミネラルウオーターや緑茶市場は拡大傾向にあり、同社では糖質ゼロの飲料を模索していた。

 そこで、「炭酸水は究極のゼロ飲料」とウィルキンソンに着目。炭酸水を直接飲むのは一般的ではなかったが、「飲んでみると意外にいける」という声が出た。さらに同社の調査でも、家でハイボールを作った人は余った炭酸水をそのまま飲んでいることが多いことがわかった。

 2011年3月、「ウィルキンソン タンサン」のペットボトル(500ミリリットル)を発売。価格は通常の炭酸飲料が150円前後なのに対し、水に近い95円と低めに設定。30、40代の男女をターゲットに、「そのまま飲む、“直飲み”という新しい飲み方を提案した」(本松氏)。

 現在、同シリーズは「ジンジャエール」など計15種類に拡大している。強炭酸の辛口が売り物のウィルキンソンだが、一般消費者向けの商品開発ではから過ぎず、しかし従来からのファンにも納得のいくバランスに仕上げるのに苦労した。「何百という組み合わせを自分たちで飲み、さらにモニター調査で確認を行った」(同)という。

 ブランドをメジャー化するにあたっては、プロのお墨付きとプロ仕様が持つストイックなイメージを大事にし、キャッチーな打ち出しをしないこともかたくなに守った。「ウィルキンソンの価値は、バーテンダーなどに愛されている」からだ。

 俳優のディーン・フジオカを起用したテレビCMを積極的に放映。ハードロックを中心としたラジオ番組を提供、フェス会場でのサンプリングも行った。

 好調のウィルキンソンに続け、と他社もビッグブランドの炭酸水を仕掛けている。それに対し、本松氏は「無糖炭酸市場が活性化していることを実感する。いろいろな市場から広くお客さまが流入し、まだまだ拡大する」と自信をみせている。(村上信夫)

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