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【図解で分かる「決算書」の仕組み】他業種にも触手、成長戦略描けるか注目 「ラクスル」

 本日は、印刷・広告のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」を運営するラクスルをピックアップする。今年5月に東証マザーズに上場した同社であるが、上場後初の決算となる2018年7月期の決算書から、その実態を読み解いてみよう。

 まず、貸借対照表=〔1〕=を見てみよう。資産に対する純資産の割合は70%を超えており、安全性についての懸念はない。上場時の新株発行により約34億円の調達をしたので、保有する現預金も潤沢である。

 次に、損益計算書=〔2〕=を見てみよう。自社サイトで顧客から印刷注文を受け、パートナー印刷会社へ発注するスキームであるため、売上総利益率(粗利率)は24・7%と低い水準である。多数の印刷会社を束ねる営業代理店的な機能の会社であるため、売上規模を拡大してスケールメリットを出すことが、収益性向上のカギを握る。そのため、広告宣伝投資を積極的に行っているので、営業利益もスレスレの黒字である。

 最後に、キャッシュ・フロー計算書=〔3〕=を見てみよう。本業でのキャッシュの稼ぎを示す営業C/Fがようやく黒字転換したが、まだ財務C/Fに支えられているのが現状だ。同社は、印刷業界だけでなく、運送業界などの他業種にも触手を伸ばしている。事業が軌道に乗って成長戦略を描けるか、今後に注目したい。=おわり

 ■川口宏之(かわぐち・ひろゆき) 公認会計士、早稲田大大学院非常勤講師。1975年、栃木県出身。専修大経営学部卒。図を多用した会計に関するセミナーは会計の素人にも分かりやすいと評判。著書に『決算書を読む技術』(かんき出版)。

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