記事詳細

【大前研一 大前研一のニュース時評】「首都圏郊外の所得減」は解決不能 筆者が見た現実 (1/2ページ)

 16日の日本経済新聞に「首都圏に所得減のドーナツ」と題する記事が掲載された。市区町村別に住民所得を調べると、首都圏の郊外でドーナツ状に減少が続いているというもの。かつて栄えた埼玉県久喜市、飯能市、茨城県取手市などのベッドタウンに、所得減少と高齢化が際立って進んでいた。

 東武伊勢崎線の久喜駅は東京メトロ半蔵門線と相互乗り入れする始発駅。都心まで1時間強。飯能駅も西武池袋線の始発駅だ。いずれも1960~80年代にかけて公営や民間の団地建設が相次いで人口が膨らんだ「始発の街」だ。

 団塊世代が年金生活に入る一方、若い世代の雇用を吸収する職場が地域にないことなどが減少の要因だ。自治体間格差を生まないよう、行政と住民一体で新たなモデルを作る必要があるとしている。しかし、この問題は解決がほとんど不能だと思う。

 上田清司知事が初当選した2003年からの1期目、私は埼玉県のアドバイザーを頼まれ、秩父市や飯能市などをいろいろと見て回った。その当時から埼玉は都心との距離が増すほど人口減が著しかった。

 当時から犬の散歩をする老人をよく目撃したが、彼らが現役として働いていたころは通勤時間が1時間20分でも頑張ることができた。一戸建ての家を持ち、周りにはそこそこの緑もあった。

 しかし、この人たちが引退してしまうころになると、街から活気がなくなってどんどん寂れていき、開発なども途中で止まってしまったところが散見された。若い人たちは仕事がなく、どんどん去ってしまった。

関連ニュース