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【バフェットの次を行く投資術】暴騰、暴落の変化のポイントは見つけられない 「相転移」が大事

 「相転移」という言葉は読者にとって耳慣れないものかもしれない。同じ水の分子で構成されているのに、温度が変化するごとに固体の氷が液体の水、さらには気体の水蒸気に変化する現象のことである。

 変化する温度は違っても、地球上のほとんどの物質に起こる現象であり、さらに極度の高温状態にすると、いわゆる「プラズマ」になる。

 この「相転移」がなぜ大事かといえば、構成する物質の分子や原子は全く変わらないのに「状態が激変」してしまうというところにある。詳しい説明は、その分野の専門書を参考にしてほしいが、簡単に言えば分子同士の「結合・やり取り」が変化することによって生じるのだ。

 分子がお互いに情報(エネルギー)を交換して状態を変化させるのと同じように、人間社会や市場もそれを構成する人々が取引をしたり、情報を交換することによって社会や市場そのものの状況が大きく変化する。

 当たり前のことのようだが、注目すべきは「氷から水」「水から水蒸気」に変わるポイントは比較的狭い範囲で、その狭い範囲の中で急激に変化するという点だ。

 市場の暴騰や暴落には後付けでいろいろな講釈を垂れる人々が多いが、実のところある一点での急激な変化は自然科学(物理学、化学など)で説明される「相転移」の市場(人間社会)バージョンなのである。自然現象だから、国家の政治や金融政策がどのようなものであっても必ず起こる必然だといえる。

 問題は、自然界の「相転移」と違って、暴騰、暴落など人間社会の「相転移」の「転移温度」(変化するポイント)は、実験や観察で見つけるのはほぼ不可能だということだ。

 実験室の水の分子は入れ替わりがないが、人間社会の市場では参加者の入れ替わりは頻繁に起こるし、水の分子は持たない「自らの意志」を人間は持っているからである。(人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩)=敬称略

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