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【田村秀男 お金は知っている】“極ミニ経済”が告げる反強欲主義 (1/2ページ)

 暮れ行く平成30年(2018年)をにぎわすのは日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の報酬隠し・特別背任容疑と、華為技術(ファーウェイ)問題などを抱えながら禁じ手の「親子上場」を果たしたソフトバンクの公開価格割れだろう。

 いずれも「強欲」資本主義である。巨額のカネがいくら特定の企業や個人に集中しても、国内に流れ、循環すると、国民経済は成長するので、つじつまが合うものだが、前記の場合は国内には回らない。それは20年以上にも及ぶ慢性デフレ日本の特徴といえる。

 「カネは天下の回り物」とする日本人の気風はいつの間にか消失したのだろうか。ならば経済は0%前後の成長を今後も続けるのも無理はない、と漫然と思うのだが、最近訪ねた高知の道すがら、首都圏などでは見たことがないショッピング風景に出くわした。

 車道の脇に、にわか仕立ての祠(ほこら)のようなコーナーがあり、そこに野菜と袋詰めになった果物が置かれている。トマトは中玉3個で一袋。マジックで書かれた値段は「百円」。無人で、代金は四角い貯金箱の中に入れる。小さな鍵がかかっているし、簡単には持ち出せないように台にしっかりと固定されている。

 さっそく100円玉を入れて、トマトをいただく。冬でも南国だけあって、日差しをたっぷりと浴びた真っ赤な完熟の味はまさに絶品。様子を見ていると、お客さんが10分間で2、3人。いずれも地元の人で、70歳くらいの男性は奥さんに頼まれて駆けつけてきた。車で20分の距離にある主婦は週末のまとめ買いで、「新鮮、安全、安心。値段は高知市内のスーパーの10分の1だよ」と手にいっぱい野菜を抱えて満面の笑顔だ。

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