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【バフェットの次を行く投資術】いいかげんな決算の数字…利益操作は簡単

 「粉飾決算」を勧めるわけではない。企業経営者が「正しくルールにのっとって、決算書を作成し、投資家に報告する」のは当然のことだ。

 しかし、上場企業においてもしばしば粉飾決算が繰り返される。

 バフェットの師匠、ベンジャミン・グレアムは、名著『証券分析』の中で、粉飾決算を見抜く方法を詳細に解説しているが、1934年の発刊当時から投資家は、企業の粉飾決算に悩まされていたわけである。

 また、粉飾決算という犯罪行為ではなくても、会計ルールを100%守りながら自由自在に利益を操作することも簡単である。経営学者のピーター・ドラッカーは「新入社員が1年も会計を勉強すれば、利益操作など簡単にできる。特に『償却』費用がポイントである」と述べている。グレアムも『証券分析』の中で、当時の代表的企業の実際の決算書を使って、どのように合法的に利益を操作できるかを具体的に示している。

 さらに、バフェットは毎年の『バフェットからの手紙』の中で、彼が率いるバークシャー・ハサウェイの「本質的価値」と「決算書の上での価値」が大きく食い違っていることに毎年のように注意を促す。米国会計ルールでは企業の実態を反映した決算を行えないと批判的なコメントも述べている。例えばバフェット流の重要な要素である「ブランド価値=のれん」は会計項目としては設定されているが、それはブランドの価値を反映するものではなく、基本的にはM&Aの際に支払った金額の会計上の調整に使われる。従って、コカ・コーラやアメックスなどの強力なブランドの価値は決算書に反映されていないのである。

 このように見ていくと、いかにも正確そうな決算の数字がどれほどあいまいでいいかげんなものかがよくわかる。私が決算書の数字を基にした「定量的分析」よりも、「社風」「ビジネスモデル」などの数値化できない「定性的分析」に軸足を置くのも、厳密に見える数字が実はいいかげんだからだ。(人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩)=敬称略

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