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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「ちょっといい話」》いろいろな企業買収の形 (1/2ページ)

 みなさんは「企業買収」に対してどんな印象を持っているだろうか。ハゲタカファンドが業績が悪化した老舗企業の経営権を乗っ取り、株価が上がったところで売却していなくなってしまうという姿を思い描く方が多いのではないだろうか。デサントと伊藤忠のような敵対的買収をイメージする方もいるだろう。

 野村ホールディングス(HD)傘下の投資ファンドと米投資ファンドのカーライル・グループが現在、オリオンビール(沖縄県浦添市)に対する株式の公開買い付け(TOB)を進めている。経営陣による自社買収(MBO)の一環で、営業力を強化して海外展開を加速し、沖縄経済の発展につなげる戦略だ。

 米軍普天間飛行場の移設などをめぐり、沖縄で複雑な県民感情が高まる中、この買収劇も当初はそんな文脈で受け取る人もいたようだ。だが、取材を進めるうちに、買収側が「沖縄のため」という信念を持って、発表の直前の夜遅くまで粘り強く交渉を進めたことが分かってきた。

 オリオン買収が最初に報じられたのは1月中旬。MBOの全体像が見えない中で地元・沖縄では報道合戦が過熱し、「東京の大企業と米国企業による乗っ取り」というイメージが先行してしまった。

 そのハレーションはあまりに大きく、破談の可能性も出てきた。そのため野村の幹部が何度も現地入りし、オリオン関係者だけでなく、地元の財界やマスコミも回って買収の狙いや成長戦略を説明し、理解を求めた。

 オリオンビールはこのところシェア争いに巻き込まれるなど、営業力強化が課題になっていた。多くの株主が高齢化し相続問題に直面するなど、株式の取り扱いも課題として認識されるようになった。こうした背景から、創業家一族がカーライルを始めとする複数のファンドに相談を持ち込み、今回の“買収劇”が始まった。

 なじみの薄い米系ファンドが登場したことで、現経営陣が頼ったのが普段からつき合いのある野村証券だった。カーライルは海外展開のノウハウやネットワークを生かした提案を行ったのに対し、野村HD側は投資銀行としての知見を生かしMBOを提案。最終的に、オリオン側からの要望で、野村HDが前面に出る形での共同提案とすることで折り合いを付けた。

 野村HD側が出資する特定目的会社(SPC)を通じてTOBを実施。いったんは野村HDが過半の株を取得するが、その後、資本業務提携関係にあるアサヒビールホールディングスが現在と同じ10%まで株を取得するほか、現経営陣や従業員も株主になる。