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【住まいの処方銭】財産分与後も母親に「居住権」 来年4月創設「配偶者居住権」で税負担軽減も

 これまであんなに仲がよかったのに…。

 財産が分割しにくい「自宅」だけの場合は“争続”が起きやすいといわれる。例えば、母親が残された場合、財産を分けるには自宅を売るしかなかった。ときには母親が住み慣れた家を出ていかなければならないこともあった。

 だが、来年4月からは自宅の「所有権」に加え、父亡き後も、母親が引き続き今の自宅に住み続けられる「配偶者居住権」が創設される。この権利で、母親はこれまで同様に暮らせる。子供との折り合いが悪い親にとっては、朗報だ。ただし、確実な取得には遺言が必要だ。

 来年4月以降、残された親は遺言により「配偶者居住権」を、子供は「所有権」を得る。親は子供に家賃を払う必要はない。「配偶者居住権」は「所有権」同様に登記もでき、原則として本人が亡くなるまで有効。なお、この権利は現在の所有権者が、来年3月31日以前に亡くなっても使えない。

 ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所(東京都港区)の好川久治弁護士は「これまでのように父親が亡くなったあとに母親が所有権を取得すると、母親亡き後に再度、相続が発生し、子供は相続税を2回払う必要があった。登記も2度変更しなければならず、手間や費用がかかっていた。配偶者居住権によってこれらの負担が減る可能性がある」と話す。

 ただし、注意点はある。

 「家の劣化による通常の修繕や固定資産税は母親の負担。ただ、台風など不慮のトラブルが起きて、家が壊れたときの修繕は所有権のある子供の負担となる」。もし、大地震が来て大規模修繕が必要になったときは大変だ。

 さらに、親が年をとって「バリアフリーにしたい」といったとき。家の価値を高める工事は、母親が工事費を一時負担しても、子供に請求できるという。早めに話し合いたい。(不動産・住生活ライター 高田七穂)

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