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【大前研一 大前研一のニュース時評】国際特許出願に必要な「考える力」 AI時代で若者への教育急務 (1/2ページ)

 国際連合の世界知的所有権機関(WIPO)が先月19日に発表した2018年の特許の国際出願件数で、アジア諸国は51%と初めて過半数を占めた。欧州が25%、北米は23%だった。

 国別の出願件数は1位が米国(5万6142件)、2位が中国(5万3345件)、3位が日本(4万9702件)。個別企業の上位10社のうち、日中韓の企業が6社。1位は前年に続き、中国の通信機器大手ファーウェイの5405件。2位はなんと三菱電機で、3位が米国の半導体大手インテル。ベストテンには入らなかったが、ソニー、パナソニック、シャープも頑張っている。

 ただこれは、本当にインパクトのある特許も「1件」だし、誰も出願していなかったので通ったというのも「1件」だ。カネが稼げる特許は、やはり米国勢が多い。数で競うのはあまり意味がないかもしれない。

 私はこの種のことには強い。日立製作所のエンジニア時代、技術系社員は年に1個は特許を出さなければならない、というノルマがあった。私は天井を見ている間にいくつも考えつくことができたので、途方に暮れている人にはアイデアを提供していた。

 その中にはつまらないものもあった。例えば鉛筆削りは逆方向からは回しにくいので、らせん状に溝をつけた棒を上下に押すと鉛筆の入った部分が回転する削り器を考えた。中国の特許にも、そういう(他愛もない)類が入っているのではないか。

 また、かつては高低差のある高速道路を連結するランプを造るのはけっこうカネがかかったので、リフトで上げて高速に入れるシステムを考え、特許をとったこともある。ETC(電子料金収受システム)の入り口ができたおかげで、そういう特許も必要なくなった。

 国際特許も私1人で日立全体の5%ぐらい出していた年もある。ただ、原子力開発部だったので、建設に至らず、なかなか特許料を稼ぐには至らなかった。そんな私自身の反省も含め、特許を数で競争するのはよくないと思う。ただ、特許出願には「新しいものを考え出す力」が必要だ。

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