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【田村秀男 お金は知っている】激化する米中貿易戦争… 嵐を前に「消費増税」という愚策 (2/2ページ)

 発券銀行である中国人民銀行は自身が決める交換レートによって外貨を市中銀行から買い上げ、人民元資金を市中に供給する。人民元を切り下げた2015年夏以降、中国からの資本逃避は止まらない。当局は企業などの海外からの外貨借り入れを容認して外貨を確保し、金融を拡大してきたが、多くは不動産や生産設備の過剰を生み、債務バブルを膨らませた。

 それはやばい、ということで当局は新規融資の縮小に踏み切ったが、主たる対象は党直結の国有企業ではなく、経済の裾野を形成する民営の中小企業であり、景況を一挙に落とし込んだ。習近平政権はあわてて金融緩和と減税に転じたが、米中貿易戦争の影響が実体景気に波及するようになって景気刺激効果は減殺される。金融も外貨難が続くので思い切った拡大策がとれない。財政も収支が悪化するので同様だ。

 中国の金融膨張こそがハイテク覇権、軍拡や中華経済圏構想「一帯一路」という対外進出策のエンジンだとみるトランプ政権は当然、対中強硬策を緩めない。習政権は経済モデルの存亡にかかわるので譲歩はできないので、ともかく時間稼ぎに徹する。その帰結が中国経済失速の長期化であり、グラフが示すように日本の対中輸出減をもたらす。そんなときに、消費税増税とは、まるで嵐が来るというのに雨戸を開けておくような愚策なのである。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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