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【こんな時代のヒット力】ネーミングにこだわり“学校感”打ち出す 高知県室戸市「むろと廃校水族館」 (1/2ページ)

 2018年4月に開館した高知県室戸市の「むろと廃校水族館」は、「金なし」「知名度なし」「人気の魚もなし」。さらには「アクセス悪し」と、ないない尽くしの水族館。しかも、その施設は12年前に閉校した小学校。そんな水族館が、開業1年で来場者17万6000人と大人気なのだ。

 「漁師さんからいただいたものやスタッフが海で釣ったものがほとんど。(魚を買う)そんなお金もないし…」と館長の若月元樹氏は言う。

 開業のきっかけは、地区の小学校が立て続けに2校廃校になったことだ。室戸市は県の東部に位置し、太平洋に突き出した室戸岬で知られる。全域、世界ジオパークに認定される自然豊かな場所だ。しかし、高速道路、公共交通機関が通らず、基幹産業の漁業の不振により、かつて3万人を超えた人口も今は1万3000人ほどと、急ピッチで人口減少が進んでいる。

 そこで市は17年、廃校の有効活用を検討。それに長年、地元で調査研究を行っているNPO法人日本ウミガメ協議会(大阪府枚方市)が手を挙げた。若月氏はそのメンバーで、「調査の拠点となる場所を探していた」。

 開業費用は5億円、そのうち3億5000万円は校舎の修理費。「長年放置されていたためシロアリ被害が甚大だった」からだ。ちなみに、1989年に開業しドーナツ型の水槽にマグロの群泳で知られる葛西臨海水族園(東京都)の建設費は88億円といわれる。

 若月氏らは金がない分、知恵を絞った。設備に金のかかる海獣類、手間がかかる魚をやめ、19基ある水槽はクーラーもヒーターもない。その環境でも飼えるのは、地元の魚のみ。施設は基本的に学校当時のままで、25メートルプールにウミガメやアジ、ブリを泳がせ、教室に水槽を置いた。什器や器具は近隣の廃校からもらったものを利用したため、それが“学校感”を打ち出した。

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