記事詳細

【大前研一 大前研一のニュース時評】「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」は孫正義氏の“打ち出の小づち”!? (1/2ページ)

 ソフトバンクグループ(SBG)が東京国税局の指摘を受け、2018年3月期の所得約4000億円を修正申告した。申告漏れの金額としては過去最高とみられる。

 16年に約3兆3000億円で買収した英国の半導体開発大手「アーム・ホールディングス」の株を、SBG傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)に移した。その際、株の取得価格と時価評価額の差額などで生じた約2兆円余りの損失を18年3月期に計上したが、国税局は19年3月期に計上すべきと指摘した。

 3兆3000億円というのは、日本の企業の買収案件として過去最大。中国最大のIT企業「アリババ」などの株式の一部売却により資金を調達した。アームの技術は、スマホ搭載のプロセッサーやソフトウエアなどに活用されている。

 SBGがアームを買収したとき、当時、社外取締役だった日本電産の永守重信会長兼CEO(最高経営責任者)は、「ソフトバンクの孫正義会長兼社長は30~50年先を見て買収したが、技術革新のスピードは速いので、私にはそんな勇気はない。私なら3300億円でも買わないでしょうね」と語ったのは有名な話。

 ソフトバンクの株主からすれば、「3兆も出して買ったものを1兆円で譲って2兆円のロスを出した。はじめから1兆円でよかったんじゃないか」という話になってくる。要は3兆円というのは間尺に合わないのではないか、ということ。

 SBGが抱えた2兆円のロスは欠損金としてキャリーオーバー(繰り越し)できるが、そんな税務上の話よりも、アームを破格の値段で買ったことがバレてしまったわけだ。

関連ニュース