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【榊淳司 マンション業界の秘密】危うい不動産取引が横行 「未来の不良債権」を増大させる超低金利 (1/2ページ)

 私は東京23区と川崎市内で販売される新築マンションの現場をほぼすべて見て回っている。

 数カ月前に、山手線の内側のある場所で「これは好立地だな」と思える現場を見た。売主は急成長中の準大手有力デベロッパー。

 ところが、3カ月後にオフィシャルページをチェックすると、その物件がなくなっていた。業界ではよくある「専有売り」かと推測。つまり他のデベロッパーに事業ごと売ってしまうのである。

 年に何回も見かけないほど好立地だったので、財閥系の大手が専有買いをして、さらに高値での販売をもくろんだのだろうと勝手に考えていた。今のようなバブル期や、あるいは急激に市場が悪化する場面では珍しくない取引だ。

 先日、その売主企業の仕入れ担当者と情報交換する機会があったから尋ねてみた。「どこが買ったの?」。意外な答えが返ってきた。

 そのマンションを事業計画ごと購入したのは金融系の会社だという。しかも、分譲するのではなく賃貸運用に回すのだという。

 利回りは表面で4%超。実質的には3%台になるはずだ。0%台の融資を受ければ、それでも何とか3%台の利回りを確保できるのだろう、というのがその担当者の読みだった。

 確かに、今の世の中だったらあり得る構図だ。0・1%や0・2%で融資を受けられれば、表面利回り4%台の賃貸不動産を購入しても形の上では事業は成り立つ。

 それにしても…と私は首をひねる。不動産の賃貸運用というものは空室リスクが伴う。景気が悪くなれば空室が埋まりにくくなる。3%台の利回りだったら、空室が少し増えただけでも赤字に陥る。

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