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【榊淳司 マンション業界の秘密】危うい不動産取引が横行 「未来の不良債権」を増大させる超低金利 (2/2ページ)

 30年以上も不動産市場を眺めているが、投資するなら8割の入居率で5%以上の利回りというのが基本的なセオリーだ。そのマンションを購入した金融系の企業が、何割の入居率で利回りを表面4%台と想定したのか、というところまでは分からない。しかし、かなりリスキーな投資であることは間違いない。

 その担当者が言うには、今でも銀行は融資先を見つけるのに四苦八苦しているそうだ。かぼちゃの馬車とスルガ銀行の事件で個人投資家への不動産担保融資はかなりやりにくくなった。だから、素性のしっかりとした不動産会社や金融系の企業に対しては、住宅ローン以下の低金利で融資を出すのだという。

 現状、そういう構図を誰もおかしいとは思わない。しかし、この先景気が悪くなったり、あるいは異次元の金融緩和から通常モードの金融政策に戻った場合、今の異様な低金利の下でしか成り立ち得ない投資や融資の案件は、たちまち不良債権化する。

 この物件の場合も、入居率が8割を切るか、金利が1%でも上昇したら即座に赤字運用となるはずだ。その時になって、購入した価格以上で売却しようとしても、おそらく不可能だろう。こういう危うい不動産取引が、今も巷では横行している。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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