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【田村秀男 お金は知っている】人口激減でも経済は成長する!? 地方文化の根付きが成長生み出す (1/2ページ)

 筆者郷里の高知の山里。スペインを本拠に欧州で活躍する女流ピアニストの西澤安澄さんが東京での仕事を急遽(きゅうきょ)切り上げて、不眠不休でやってきてくれた。山と川ばかりでどうなることかと、迎える一同ひやひやしたが、杞憂(きゆう)だった。彼女は導かれるまま深山幽谷に踏み入れ、瀑布(ばくふ)に近づく。轟音(ごうおん)で制止の声がかき消され、ずぶぬれだ。宿泊先の民家に落ち着くや、「パワーをもらったよ」。

 子供たちが都会に去り、20年以上もの間、弾き手がなかった鍵盤が魔法にかかったかのように蘇る。土佐は世帯当たりの飲酒量日本一。何事かと駆けつけた地元民三十数人はいつもと違って酒ではなく、スペインの流麗でダイナミックなピアノ曲に酔いしれた。

 帰京後、西澤さんのコメントは「なんて不思議な土地と人々なんでしょう。東京に帰りたくなくなってしまう危険な隠れ里ですね」。

 実のところ、高知の山村人口はイノシシや鹿の数よりもはるかに少ない。同県では年間約2万頭の鹿が駆除されているが、その数はなお増え続けている。対照的に、県人口は2、3年間で約2万人減っている。

 2006年には80万人近かった人口は今、70万人を切った。17年の前年比人口減少率(1000人当たり)は全国平均マイナス1・8人に対し、高知県はマイナス10・1人とすさまじい。

 若年層や労働適齢人口層割合の少なさ、高齢者の比率の高さも県別比較でビリをうかがう。

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