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【田村秀男 お金は知っている】二宮尊徳の「戒め」に反する消費税増税…実質賃金はマイナス (1/2ページ)

 幕末の篤農家、二宮尊徳は「暗君は取ることを先にし、国衰え、民は窮乏し、やがて国家は滅亡する」と、説いた(吉田寛著『市場と会計』春秋社刊から)。

 10月1日から消費税率が10%に上がるが、化け物のような税制と言っていい。キャッシュレス決済に伴うポイント還元と食料品などの軽減税率を合わせると、消費者が負担する実質的な税率は5通りと複雑で、現場では大混乱が必至だ。

 零細業者は廃業の動きが相次いでいる。ポイント還元制度はアマゾンや大手小売りが消費者サービス上、優位を競う。大型小売りの進出規制緩和後、地方の商店街が軒並みシャッター通りと化した悪夢を、性懲りもなく繰り返す。

 「軽減税率は同制度の導入を強く主張する公明党と日本新聞協会に譲歩した結果で、ポイント還元制度は首相官邸で強い影響力を持ち、キャッシュレス決済の普及を狙う経済産業省にすり寄ったため」と、知り合いの財務官僚OBは釈明する。要は財務省として消費税率10%という既成事実を作り上げたかっただけのことだ。

 財務官僚は民主党政権当時、その道筋をつけることに執念を燃やした。さすがに省内では消費税の本場、欧州ではタブーとされるほどの大幅増税だと懸念する声が上がったが、首脳部は「民主党政権時代こそが千載一遇のチャンス、それを逃すつもりか」と一喝した。

 民主党の菅直人、野田佳彦各政権はまんまと策謀に乗せられ、自民、公明両党を道連れにした「3党合意」で5%の消費税率を2段階の3%、2%の幅で引き上げる法案を成立させた。

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