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【経済快説】金融知識を伝える絶好のチャンス! 金融庁は「老後2000万円報告書」の改訂新版を作れ (1/2ページ)

 金融庁は、通称「老後2000万円報告書」こと「高齢社会における資産形成・管理」(金融審議会・市場ワーキンググループによる)の撤回を正式に決めた。6月に公開されたこの報告書は、国民の不安につながるなどと批判され、大いに話題となり、麻生太郎金融担当相は受け取りを拒否した。撤回とした一方で、書類の隠蔽との批判を避ける意図から報告書自体はホームページに掲載され続けるという。

 問題が大きくなりすぎて、金融庁という一官庁の手に負えないのかもしれないと思いつつも、この措置が2つの禍根を残す点を指摘したい。

 まず、有識者に検討を諮問しておきながら、その報告を大臣が受け取らないという悪しき先例が残る。政府なり大臣なりが「気に入らない」と思えば、専門家の意見をなかったことにできるとするのは良くない。報告書自体を受け取った上で、内容に批判や反論を加えたり、別の専門家に再検討を諮問したりすることはあっていいが、「無視」という選択肢は持たせるべきではない。

 政府が専門家に検討を依頼する審議会には、事務局である官庁に議事をコントロールされて、政府の意向に「お墨付き」を与えるだけに形骸化したものが多いのは事実だが、「専門家による検討には価値がある」という建前を正面切って否定するのはいかがなものか。

 もう1つの問題は、件の報告書の何がいけなかったのかが、明確にされていないことだ。国民一人一人にとって、老後の生活に向けた計画性や自助努力が必要なことは一般論として間違っていないし、成年後見制度の不備など高齢期の資産管理に独特な問題があることの指摘も適切だった。報告書を単に撤回することによって、老後に向けた「自助努力」全般を論じにくい環境が醸成されることは望ましくない。

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