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【こんな時代のヒット力】商品よりも…まず「村」を売る! 馬路村農業協同組合「ゆず」 (1/2ページ)

 馬路(うまじ)村は高知市から車で約2時間。徳島県境に接し、周囲を1000メートル級の険しい山々に囲まれた山間の村である。人口約900人。耕地が少なく、面積の96%を山林が占める。村内に国道、鉄道、コンビニ、スーパー、高校、そして信号もない。

 そんな不便な、小さな山奥の村が、地元で取れるゆずで年間30億円のビジネスをゼロから生み出し、年間6万人の観光客を集める。1日15万本も作られているという大人気のゆずドリンク「ごっくん馬路村」は、ゆず・水・はちみつのみで作られた自然に近い爽やかな味わいが魅力だ。

 村を牽引(けんいん)してきたのが、馬路村農業協同組合。農協がゆず苗の育成を開始したのは1963年。高知県はゆずの生産量全国1位を誇り、当初、県内の仕出屋などへの販売を狙ったものの、市場は既に飽和状態。仕方なく県外へ販路を求めた。

 当時は、すだちが一般的でゆずを食べる習慣がない。その上、「馬路村、どこ?」と知名度もないため、苦戦する。そこで県外でも受け入れやすいゆずの加工品に転換。ゆずの佃煮を作るが、売れない。それでも諦めず、村で作ったゆずのしぼり汁を抱えて農協職員が全国の百貨店で開催される物産展を、実に年間150日、駆け回った。

 「主要産業の林業が衰退し、このままでは村が潰れる、農協も潰れるという崖っぷち」(営農販売課課長、長野桃太氏)だったが、流れが変わった。1985年ごろ、馬路村出身の神戸大丸・食品係長と知り合い、目立つスペースを借りることができた。場所がよかったことも幸いし、1週間で127万円の売り上げを記録。そこから評判が広まった。

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